小説しょうと四天 | ナノ

キミとオレの関係図2




「っ………あ、」

朝、ぱちり、と目を覚まして体中が汗だくで気持ち悪かった。
けど、1番気持ち悪いんは男らしい男前でありながら光に抱かれたいなんて考えとる、俺。

「って……暗い、っちゅー話や」

気分を入れ替えるように朝練のための用意を始めた。
今日はたまたま早く起きたから、早く行くんや。故意やない。








「おはようさー……って誰もおらんのかい。はは、当然か」

朝5時半やぞ、今。

「………謙也?」

「ん、ああ。居ったんか、はようさん。早いなお前」

現れたんは準レギュラーの同じクラス。仲はイイほうや。

「早いっちゅーか……謙也、さ。財前と付き合うてないって……ほんま?」

「ほんまやて!!お前までそないな事言わんといてやー」

「じゃあさ、俺にも、チャン」

ガアアンッ!!!!と朝から鳴り響くにはちょっとひど過ぎる騒音に驚いて振り向けば、仏頂面の光がひどく不機嫌そうに立っていた。

「……謙也行くの早ない?」

「ああ、スマンスマン。今日久しぶりに早く起きたもんやから自主トレしたかってん。光朝弱いから誘うの申し訳なくてな」

「………ふーん」

ガタガタと思い切り音を立てながら着替える光に首を傾げる。
置いていったくらいでそないに怒るほど、光はコドモやないし………

「謙也、次からは絶対誘うて。一緒に行くから」

「え、やけど」

「俺レギュラーになったし、そんくらいやる」

「………分かった」

訳が分からないまま頷けば、鬼のような早さで用意を終えた光に引きずられ、俺は朝のコートに投げ出された。
やから、最後まで気づけなかった。
光が、それはそれは恐ろしい勢いでクラスの男子を睨みつけていたことを。

そして、こう囁いたことを。

「何がチャンスや、そんなん有り得ないに決まっとるやろ。俺と謙也の関係は、誰にも超えられんのや」



















「………謙也最近冷たない?」

「………え?」

光がレギュラー入りして二週間の時やった。光が、切り出してきたのは。

ざわりと身体が強張る。
何やねんいつも激ニブなんやからそんまま気づかんといて欲しかった。

「そうか?気のせいやないー?」

「嘘」

恐ろしいくらいの真剣な眼差しで、まるで俺を拘束するかのように、光は俺を引きずり出してくる。

「謙也は、嘘つく時に俺の顔見ない。目線は安定しない、手は震える。嘘、や」

「………!」

幼なじみっていう立ち位置は、俺を突き落とすかのように俺を追い詰める。

何でこんなに迫るん?期待してまうで?けど、期待した瞬間突き落とすんは、お前やろ、光。

「………やから」

「え?」

「好き、やから。」

もういい。どうせこうなるならこのままで居たって良くない。
いっそ、スッキリしてまいたい。

「恋愛感情、でな。」

「けん……や……」

「気持ち悪いやろ?ええよ、もう幼なじみっていう括りにすら入れないで。ただの先輩後輩で構わんし。やから、振って、光」

楽に、なりたい。

聞こえるか聞こえないかのくらいで小さく呟けば、光は押し黙る。
コイツは鈍チンや。
けど、それは自分のテリトリーに入れた人間を盲目的に大事にして、優しくするから。
それが心地好くて、甘えていたのは俺。

終止符を、打とう。

「………なあ、光……」

振って、や。

「嫌や」

「ひか……」

「謙也を振るんも謙也と幼なじみ辞めるんも謙也と付き合うのも嫌や。謙也はいっちゃん好きやし落ち着くけど、そんな風に見たくない。謙也は謙也のままで、謙也っていう大事な括りで、謙也を、謙也が、」

途中から自分で言ってることが矛盾しているのも分かって、更に混乱しとる光にホッコリと温かい気持ちが湧く。

ああ、可愛いなあコイツ。
やから、好き。

「謙也がっ、謙也やからっ……」

ボロボロと涙を流して本格的に嗚咽を漏らす光は大切な幼なじみ。

幼なじみである光も、俺は好きなんや。

「うん、そうやな。ゴメンな、苦しませたな。光は俺を大事な括りに入れてくれてるんなら、もうそれを、いや、それが最高や。それ以上は望まない。いつか、光も俺も違う奴と通じ合った時もこうやって笑い合えれば――――「は?何それ絶対に嫌やし」

一気に不機嫌な声に戻った光に目をパチクリとさせる。
いや、こういう方向やないの?
光が気まぐれなんはいつもやけどなあ……。さすがにこれはなあ……うん。

「もー……光は電波チャンやなぁ」

「…………やって、」

いきなり手首を掴まれて引っ張られ、次の瞬間は光の胸に抱き寄せられていた。



















…………え?いや、ちょいと待って。今俺は間接的にフラれたはず。なんに、光に抱き寄せられてて………?

??………???

ち ょ っ と 待 て !!!
誰か俺にこの状況を的確かつ、わかりやすく教えれ!
無理!無理!無理!!
何これ何事!!?
アカンてアカンアカンアカンアカンアカンアカン!!!

「……はは。久しぶりにほんまにヘタレた謙也見たなあ。」

「わ、分かっ、っと、んなら!離、せ!ア、アホ!」

「嫌やー。久しぶりの俺の主導権ー♪」

ご丁寧に♪マークなんか付けてぎゅむぎゅむ抱きしめてくる光に体中の血が沸騰して吹き出しそう。

畜生、この無邪気鬼畜!!

「あー、落ち着くー。ヘタレな謙也も何も大事やー」

「あー、さいですか」

「謙也をそんなふうに見たら俺絶対に人生最後の恋愛になってまうもんー。大恋愛で、ゲイコースまっしぐらやー」

「………………はあ?」

おいコラ今なんて言うた。とんでもなくとんでもない事を言い放ちやがったよな!!

「これから先、俺と謙也はお互いに1番でいたいねん。けど、恋愛になったら世間の荒波とかキツイやろ。そんなんで否定されたないもん。俺と謙也の関係はそんな軽々しく出来てへんもん。」

「………バーカ!」

「関西人にバカは駄目やて謙也前に言うたくせに………」

あひるのような口をした光の可愛さに頬が熱が集まる。
クールな光も、無邪気な光も、カッコイイ光も、優しい光も、コドモみたいな光も、皆好きっちゅー話や!もう知らん!

顔を思い切り上げてやれば、驚いたような顔した光。そのまま首を伸ばして軽いキスをかましたった。

ボフンッと真っ赤になった光に思わずほくそ笑む。
なんや、俺ら両想いやないか。




















キミとオレの関係図













(さあ光、境界線は超えた、どうするん?)
(……………恥ずかしい奴やな謙也)
(う、うっさいわ!言ってみたかっただけや!!)
(いや、そうやって強気に出たわりに顔真っ赤―――)
(だぁぁぁぁ!!!!)
(ま、そんな謙也も何も1番に好きやから困ってるんやけどなー。まあ、ええか。謙也、世間の荒波も一緒超えようなー。)
(ぉ、おお……)
(つか俺もしかして朝、嫉妬してたんかな―?なんや、モヤモヤしてん)
(は、はあ………?)
(俺、やっぱり謙也のこと世界一大好きなんやなー。)
(!!!!!)




ちょっと待て。
お前は俺のハートへの爆弾魔か。




















―――――――――――――
きっと皆様思ってること。












拍手更新しろよ(^ω^)











はい、その通りでごぜーます。
いやはや、難産で……
ちゃんと変えます。けど、待って下さいお願いします(土下座)


ちなみにこの設定好きですー。
財前やら謙也やらキャラ崩壊ですが、そんな二人もアリだろうと思います(`・ω・´)キリッ

つか財前を無自覚で天然で鈍くてタラシにすると想像を超える電波チャンになるということが分かった。
そして謙也をちゃんと男前にしたら想像を超える攻め男子になった。
まあ精神的には謙光だよねー、光謙は。
だって光さんコドモだもの←



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