小説しょうと四天 | ナノ

反転回ってもやっぱり
好きなんだもの仕方ない


忍足謙也。
中学三年生
部活はテニス部(レギュラー)、特技はスピード、ペットはイグアナ、好きな色は赤、座右の銘はNOスピードNOライフ。好きな人は一応、います






今、ピンチです。










「あのッ、私財前くんが好きです!!良かったら付き合って下さい!!」


ナゼ告白をゴミ収集所の前でやるんデスカ!?
あ、いや、収集所ってのはアレやで学校でゴミ集める場所やで?
ってかホンマに何でゴミ収集所の近くで告白すんねん!!
もっと放課後の空き教室とかそういうロマンチックな場所を選べっちゅー話や!!
もし告白受け入れて貰ってもゴミの近く!!そのままのノリでキスしても近くにはゴミやで!!?
いや告白受け入れて欲しくなんかないんやけど!!

やって俺が好きな人は財前やし!!


とりあえずクラスメートに頼まれたごみ箱を傍らに置く。
落としたりして音たててあっちに気づかれるなんていうお約束の展開は御免っちゅー話や。

「………悪いけど、」

よかった、お断りみたいやな。
なんて呑気に思ってた俺はこのあとどん底にまで落とされることになる。












「俺あんたみたいなチャラくてやかましくてアホでバカな人、まあハッキリしてるのはええけど、絶対恋人にしたないから。」

「!!?じゃ、じゃあテニス部の人はどうなんの!!?」

「部活の先輩とかは別やろ。先輩としてなら関われるし、別に嫌いやあらへん。けど、そういう人達は女子でも恋人にできへん」


チャラい◎
やかましい◎
アホ◎
バカ◎
ハッキリ×
女子×









……………忍足謙也中学三年生、部活はテニス部(レギュラー)、特技はスピード、ペットはイグアナ、好きな色は赤、座右の銘はNOスピードNOライフ。















好きな人に今正に、間接的にフラれました。

















…………傍らにごみ箱、好きになることすら許されない性別、告白はやる前にフラれ、直接返事も貰えない。


あの女の子より俺の方がミジメだという事実に、俺は今打ちのめされた。



…………ゴミって見てると意外と落ち着くんやな。

例えごみ箱の中が使い捨てられたゴムであろうと、俺よりミジメな無機物に癒されてしまった俺はもう末期っちゅー話や……





















―――― ―――――――――

はははははは。

「大丈夫かいな謙也………」

クラスに戻ってきて沈み込んで笑ったままの親友に白石は額を抑えた。

「まあ今日はお楽しみ会的なミーティングやし、楽しんで忘れや?」

「おー……」

ま、告白しようとかアホなこと考えんでよかったわ……と思うようにしよ。

「そういやお楽しみ会ってなにやるん?」

「ババ抜き」

「………………何で敢えてのそのチョイスなんや?」

「阿保か、トランプの王道やろ。ベタなんがちょうどいいわ」


ニッ、としたり顔で笑う白石に俺は首を傾げた。









――――――――――――



「ほな始めんで!!勝って笑かしたもん勝ちのお楽しみ会!!第一回チキチキ☆ババ抜き大会開催するでーーー!!!」

白石のノリに元気よく反応するレギュラー。
俺も軽いヤケになって思い切りのった。

「すんません遅れました。」

「!!!!」

「おっ、財前来たか!ほら、座りや!!」

白石に促され、財前は地べたで円を作ってるのを見渡し、ストン、と座った。






……………俺の隣に。

「なんっでやねん!!!!」



と、叫びそうになり、慌てて抑えた。
アカンアカン落ち着けや俺。

せや、財前が俺の隣に座ったんは仕方なしに隙間があったのが銀と俺の間だけやったからや!

と自己暗示しつつ、やっぱり白石に目で訴えかける。

「まあまあ、んじゃ始めんでー」

まあまあ、ってそれだけかいな!!
もっと親友なんやからカバーしろや!!
なんや間接的にフラれたばっかでこっちは財前の隣にいるだけで辛いっちゅーねん!!!

なんてあうあう俺がやってるうちにトランプが配られババ抜きの準備万端。
とてもババ抜きなんかに集中できない状態で、それは始まってしまった。
















そりゃアレや。
ババ抜きなんちゅうもんは探り合いやし。

そんなかに一人危機感持たずにポヤンとした奴がいたら、それこそ鴨がネギはもちろん勝利というもんすら持ってきてお得っちゅー話や。






つまり結果、俺は惨敗した。







「ほな一位の小春!ビリの謙也に一つ命令してええで!!」

「ほんま?何にしようかしら?」

「小春の言うことには絶対服従やからな謙也ァ!!!」

「わかっとるわ!!」

なんやろ小春どんなバツゲームにするんやろ。 頼むから脱げとか言わないで欲しいわ……
一応間接的にフラれたとはいえ財前が好きなんに変わりはないんや………。
これ以上カッコ悪いとこ見せたないわ………ババ抜き負けてるからもうカッコイイも悪いないんやけど………


「そうね、金ちゃんと師範とケン坊は出てって貰っていい?」

「え――!!何で出ていかなアカンの!!?」

「コラコラ金太郎さん。」

「ほな仕方ないわ。先帰ってもええってことか?」

「そうね、蔵リンいーい?」

「ま、しゃーないからええよ。こりゃ教育に悪いバツゲームかいな?」

「エッ………」



俺、死亡フラグやん。

「じゃ、バツゲームの内容なんやけどね、謙也クン♪」

「お、おう………なんや」

「隣にいる人にちゅーして?」





















………………………はっ?!





お、俺の隣ゆうたら………

白石に………財前…………



…………俺、終了のお知らせ。


いや諦めたらアカン!!
せや、白石や!白石にすりゃいいんや!!
親友やし、な!!

「謙也クン、どっちにキスするの?」

「あ、おん。え、えーと……」

チラッと白石を見るとにこやかに笑っている。

…………え、なんで?

「しら、「もちろん財前やんな?」

「エッ…………」

Don't kiss me?
キスしないで?

ギギギ……とゆっくり白石じゃない方の隣、財前を振り返る。

「………………………」

めっちゃくちゃ眉間にシワ寄ってるやんアホか!!!

や、やっぱりアカン!!

「しら、「謙也さん白石部長とキスしたいんスか?」

今まで全く喋ろうとしなかった財前が口を開いたと思ったらまさかの質問。
とりあえず口には出さんけど、好きな人と通じあってすらへんのにキスなんか出来るか!!!

「いや、別にしたい訳やないけど………けど、財前嫌がるやろうし、やったら白石と、「じゃあ謙也クン、蔵リンと光、するならどっちとキスしたい?」

な に そ の 究 極 の 選 択 !!!?

「い、いやー別にどっちでもええ「なに腑抜けたこと言ってんじゃ謙也!!男やったらビシッと選ばんかい!!!」

ユウジこの野郎!!!
てか何でさっきから俺のセリフにみんな被せてくんの!?
新手のイジメか!!

助けを請うように今までずっと傍観していた千歳に目配せ。
千歳はニコニコ笑って声は 発さず

頑張りなっせ

………ふざけんな!!!

この場に銀やケン坊がいたら間違いなく止めてくれたやろな、何で二人出すか分からんかったけどそういうことか!!

確信犯な小春に恨めしげな目線を送るが笑ってるだけ。




…………詰みや。



いや、まだや!!


白石とは親友、財前とは精々仲がええ後輩!!
これは普通白石やろ!!うん!!!

「てか謙也さん、もしかして白石部長とキスしたいんやなくて、俺とキスしたくないんスか?もしかして」

「エッ………………」

「…………そうなんですか。俺、謙也さんに嫌われてたんですね……」

フイッと財前は俺から視線を反らした。
え、なにこれ誤解されとる?

「ちゃ、ちゃう!!!」

「…………じゃあやっぱり白石部長とキスしたいんですか?」

「そ、それもちゃう!!!」

「じゃあ何でですか」

「そ、それは…………」

言えるか畜生!!
財前のこと大好きやからVv
なんて言えるか!!

「………やっぱり俺とキスしたくないんですね」

ああああああああ!!!!
ちゃうわ!!むしろ俺は財前が大好きやからキスしちゃアカンねん!!!!

「ああああああああ!!!!
ちゃうわ!!むしろ俺は財前が大好きやからキスしちゃアカンねん!!!!」






………………………ん?




「………………………え」

目を丸くした財前。




……………今度こそ、



俺、終了のお知らせ。






「…………白石ーキスすんで」

ガッと白石の肩を掴んで戦闘態勢。
こうなりゃヤケや。
さっさとキスぶちかまして逃げたる。

「…………謙也さん」

「うっさい今取り込み中や」

今財前の顔見たら死ねる、絶対死ねるわ。

「こっち向け」

「嫌や」

「向けゆうとるやろ」

「嫌や」

「やったら向かすまで」

「なっ…………んぐっ!?」








え、なにこれ財前の顔が近い。
睫毛パチパチしてるし、やっぱりイケメンやな、財前って。









…………って!!!!


「お前は俺を殺す気か!!!なんで口ちゅーかましてんのや!!!」

ドキドキで死ぬわこの野郎ぅぅぅぅ!!!

「酷いわー謙也さん。初キス感想がそれとか笑えませんわ」

「な、や、やって何でキスなんか……!!財前喧しくてアホでバカでチャラい奴嫌いなんやろ!?それに俺男やし!!!」

「そうですね、嫌いです」


グサッ、と財前の言葉が俺の今一番ナイーブな場所に突き刺さった。
アカンこれダイレクトにクリティカルヒットした。
ドピャーと血が出てるわ。きっと。

「けど、何ででしょ。謙也さんの喧しさや何やは嫌いやないんですよね。」

「え………」

「それに言いましたやん。部活の先輩は別、って」

ふ、と笑った財前にドギャンと撃ち抜かれる。

「ま、謙也さんなら男でも脈ありですかね」






















反転回ってもやっぱり好きなんだもの仕方ない










どうやらこの恋、諦めなくてええらしい。









(おーいお前ら、俺らの存在忘れとるやろー。謙也は特に俺らに感謝しいやー)

(……………………白石ウザッ)




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