小説しょうと四天 | ナノ

Notお気に入りの後輩


めちゃくちゃ設定

☆謙也が後輩
☆財前が先輩
☆白石は変わらず部長で財前の同級生or謙也の幼なじみ


そんな設定許されるならどうぞ
(^O^)

Not憧れの先輩より続いてるつもり
























「へ?財前先輩が、風邪?」

部活の朝練、白石が皆に言った言葉に、俺は目を丸くさせた。

「せや、何でも家族中が風邪引いてそれを看病してたら皆が治ったときに財前一人風邪引いたんやって。やから今日はお休みやで。」

「へ、へー……」

財前先輩が風邪でいない。
かなり心配だけど…………正直複雑だ。

前に保健室で守りたいと言われた日から、いやに俺は財前先輩を避けてしまっている。

おまけにあからさまに避けてしまっているから、時々見える財前先輩の少し悲しそうな顔に、また俺は落ち込んでしまって………。
どうしようもないジレンマに俺はため息をつく日々を送っている。

「やから放課後、今日、部活は軽いミーティングやから後輩一人にお見舞い行って貰お思ってんねん。ほな後輩皆でジャ〜ン〜ケ〜ン〜ポン!!」
















「………………にょわほい?」

うわ、今変な鳴き声でたわ恥ずかしっ……って、ちゃうわ!!

「ひ、ひ、一人勝ち………!?やと……!?」

俺が出したのはチョキ。
他の一年はパー
え?嘘やん。俺人生全ての運を使いきったんちゃう?

「ほな謙也やな。行ってき」

「ええぇぇぇ??!!ふ、普通負けた人やないの!?」

「なに言ってるんや。勝った奴が先輩のありがた〜い命令を受けれるんやで。おまけに皆の憧れ財前先輩やないか。ええやろべつに」

「せ、せやけどっ……俺、ど、どうしても行けん理由が…!!」

「ははは、謙也ァ。今の自分の立場言ってみや」

にこりと笑っていう白石に眉を潜める。しかし白石は笑ったままなので仕方なく言ってみる(決して怖かった訳ちゃうで!)。

「1年2組……テニス部忍足謙也。平部員で長男」

「今、テニス部での活動内容は?」

「え、球拾い、掃除、コート整備、ジャグ作って、先輩のサポートして………」

「はい、それは俗にいうなんて立場や?」

「……………………下っ端」

「対して俺の立場言ってみ?」

「…………部長を勤めるテニス部レギュラー」

「はい、じゃあ放課後財前先輩の家に行ってお見舞いして来や♪言っておくけどお願いちゃうで。部長が下っ端に命令してるんや。」

し、白石コイツ……!!
昔から知ってはいたけどなんて性格が悪いんや……!!

「…………………この野郎」

「はて、今なんとも生意気な言葉が聞こえたんやけど?」

「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃいいひゃいいひゃい!!!!!!」

おっま、部長でおまけにパワーもあるんやから、両頬引っ張ったら痛いやろが畜生、バカ!!

「ま、最近財前とギクシャクしてるやん。それを今日何とかして来や。してこないと家に入れへんからな。おばちゃんに言うて」

「なっ!!ふっざけんなバカしらi痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」

今度は腕を抓られた、畜生部長特権無駄に使いよってからに……

「てかホンマええ加減仲直りしろや謙也。先輩に対してあの態度はあらへんやろ」

「ユウジ…………」

同学年のユウジに悟られて思い悩む。別に俺は財前先輩が嫌いな訳やない。
むしろかっこええ先輩で憧れの対象で、そして、男であるのに恋愛的に好きな先輩であるのは変わらない。
だから、どうしたらええか分からへん。
これ以上一緒にいて、期待しても虚しいだけやし……

「俺らがお前を勝たせてやったんや。ちゃんと仲直りしてきや、」

「……………おん」

てか………………ん?

「おい勝たせたってどういうことや!!」

「え、あ、………」

ささっと一斉に目を逸らした一年勢に、謙也は口元をひくつかせた。

「グルやったんか……!!」

「ええ加減にし謙也。そうせざるを得ないほどにお前と財前気まずいんやから」

「ぐっ………!!」

「ほな放課後、ひ と り で 行ってきや?プリントとかは俺が後で渡したる」

「………………」

「返事は?」

「はーい……」





















‐放課後‐




「……………ココ、やんな」

二世帯住宅だからかかなり立派な建造物やなあはははは、と謙也が最初に思ったのはそれだった。
現実逃避をいかにしても、現実は変わらないのだが。

「……………やらなアカンかなぁ……」

ちゃんとやったってことにして帰って、明日からは普通に話しかければ………

「………俺にそないな器用なことできるんか……?」

どうしようか。
いきなり好きな人の家に上がり込むなんて勇気あること出来る気がせん……!!

もういっそ今日は公園にでも泊まって――――

バンッ!!!

「アラァ!?光と同じ部活の子!?」

「!!!ぅえっ……!?」

いきなり玄関が開いたと思ったら現れた中年のおばさん。

「光と名札の色違うんじゃ同学年じゃないわよね?後輩さんかしら?私光の母なんだけど、急にどうしても外せない用事が入っちゃって!!悪いんだけど、光の看病お願いするわ!!光の兄家族は18時には帰ってくるから!!お父さんは深夜遅いのゴメンね!!私も早めに帰るようにするからよろしくねニンソクくん!!」

怒涛のマシンガントークに目をチカチカさせている間に、財前宅にほうり込まれ、財前先輩のお母さんは行ってしまった。

「光の部屋は階段上がって右側の角部屋よー!!」

と、言い残して。

「………………財前先輩もやっぱり関西人から生まれたんやな………そして俺ニンソクちゃう……」

名字の間違いを言う前に去ってしまった財前先輩のお母さんに俺は感謝すべきなのか、憎むべきなのか…………

「……………とりあえず、財前先輩の部屋行ってみよ」

だがまあ、入ってしまったからにはもう後戻りはできない訳だし。
頑張んないとなぁ……
顔が赤くならないかが心配や。

コンコン

「あのー……財前先輩?忍足ですけど――……」

なんの反応も示さない財前先輩。
まさかこの部屋じゃなかったか?と不審に思いながら失礼ながらドアを開けた、ら、

「?!!?財前先輩!!!?」

ベッドの下に転がって荒い息を繰り返す財前先輩の姿。
これにはもうびっくりたまげた。

「財前先輩!!しっかりして下さい!!」

荒い息で、意識がないような財前先輩を必死にベッドの上にあげる。と、財前先輩が小さく、

「……………水……」

と呟いた。
俺はもう急いで下に下りて勝手に台所に侵入し、浄水器の水をザブザブといれた。
水がグラスに入るのを遅く感じたくらいだ。相当俺は焦っていた。

「水持ってきました!!」

バタバタと財前先輩の部屋に戻る。
けど、意識がないからかグラスを持とうともしないし、口も開かないから流し込むこともできない。

「ッ…………!!人命救助、やんな……!!」

ぐいっと謙也は水を自分の口に含むとそっと財前の口に押し当てた。

「んっ、んんっ……!!」

ゴクリ、と財前先輩の喉が鳴ったのを見て、またそれを繰り返し、ようやくグラスの中の水が無くなった時にようやく俺は息をついた。

「ふぅ………よしっ!」

医者の息子の底力見せてやるっ、と血気盛んに謙也は立ち上がった。

まずは氷枕を作って財前先輩の頭の下に滑りこませる。
額にも氷水で冷やしたタオルを置く。
次におかゆか何かないか探し、ないのを見届ける。
あの様子じゃ朝から寝たきりなんだろう。
悪いと思いつつおかゆを作り、途中で味気あるほうがいいか、とおじやに転向した。
いい感じに出来上がったおじやと、喉にきく生姜湯。
財前先輩が目を覚ましたらまた温めよう、と蓋をして、上にあがった。

「財前先輩起きましたか―…?」

カチャ、とドアノブを捻ってまた部屋に侵入。
さっきより幾分か落ち着いたのを見ると、自分の看病は間違ってなかったらしい。

「よかった……」

そっとベッドの端に座り込み財前先輩の顔をみる。
綺麗で端正な顔立ちをしているな、と思う。

「睫毛は……あ、量が多い」

パシパシと鳴りそうな睫毛の量にふひ、と笑う。
投げ出されるように無造作ベッドに置いてある財前先輩の右手にそっと触れる。

「……………努力の天才」

マメやタコでゴツゴツとした手を愛おしむように撫でる。
この手で自分を守ってくれたらどれだけ幸せなんだろう。



だけど、

それは俺が期待するようなものじゃなくて。

「財前先輩に……迷惑や…」

こんな、醜いといっても過言ではない気持ちなんて……

「財前先輩………」

切ない思いに一筋の涙を流し、謙也はゆっくりと睡魔に身を預けた。




















「……………ん……」

ぱち、と財前が目を覚ますと、幾分か楽になっている自分の体。
財前はそれに少なからず驚いた。

「冷やしタオルに……氷枕……?」

なんで、と体を起こした時に感じた重み。

「…………忍足?!」

「ふあっ!?」

大きな声に目を覚ますと目を丸くした財前先輩。
財前先輩………?

「うぁ――――!!!!」

「な、なに、」

「財前先輩まだ寝てないとダメです!!体温計で体温計って!あ、あとおじやあるんです!!食欲あるなら食べて下さい!生姜湯もあるんで!!」

「あ、おん……」

「ほな今持ってきます!」

バタバタと階下に下りていった謙也に目をパチパチさせて財前は首を捻る。
なんで謙也がいるのか、自分の母親は、謙也は料理ができたのか、と様々な疑問が浮かぶが1番の疑問。

「………………………このグラス」

机の上に水が入っていたように見える水気があるグラス。
それは恐らく謙也が飲んだものじゃない。
謙也はいつも青汁を持ち歩いている。
となると、

「俺が、飲んだんか……?」

だけど、自分は一度寝たら滅多なことでも起きない。
なのにどうして…………

「財前先輩!」

ガチャ、と部屋に戻ってきた謙也に、財前はとりあえずその疑問をはじに置いた。

「あ、美味い……生姜湯も……」

「ホンマですか?!よかった……」

「………というか何で自分ココにおるん?」

「あ、いや、部活代表で財前先輩のお見舞いに………来たところで財前先輩のお母さんが急な用事できたから看病頼むーって」

「あのバカ………」

はぁ、とため息をついた財前先輩はふ、と真剣な顔をして俺を見つめた。
それに思わず顔を逸らす。

「でもお前、最近俺のこと避けてたんに………よう来たな。驚いたわ。てっきり嫌われた思ってたし」

「!!違っ!!」

ガバッと顔をあげた俺の先には悲しそうにしている財前先輩。
その顔にじわり、と前が歪んだ。
ちゃう、そんな顔させたいんやない……!!

「…………俺、財前先輩のことはむしろ大好きです。だから、財前先輩をむしろ俺なんかが煩わす訳にはいかへんので……」

「……………は、」

ポカンとした顔をした財前先輩にまた慌てて目を逸らす。
俺今結構恥ずかしいこと言っ………!!?





「、 え」






「………………よかった」

「………ざ、財前、先輩……!!?」

「俺、忍足に嫌われた訳やなかったんやな………。」

ぎゅうっと抱きしめられた、俺。
周りという周りに花や星が舞った。
う、嘘やん………!!

「お前バカやなぁ。忍足まだ言われてないやろうけど、今度の春の大会、俺とダブルス組むんやで」

「えぇ!!?」

「それが決まってからお前に避けられたから俺どうしようかと思ってたわ………」

「す、すみません………」

くすり、と財前先輩が笑ったのが分かって、キュッと気持ちが軽くなったのが更によく分かった。

「ダブルス組むんやし、名字じゃなんか他人行儀やな……。いっそ名前呼びに変えるか。謙也って呼んでええか?」

「ひゃ、ひゃい!!」

「はは、なにその返事」

ゆっくりと体を離される。
財前先輩はとても嬉しそうに笑っていた。
アカン心のメモリーに保存しとかな。
シャッター音はキュンッ、やで。

「ええと、あの!!あ、財前先輩に一応お見舞いに善哉買ってきましたんで良かったら……んぅ」

財前先輩の長くて綺麗な人差し指で口を塞がれ微笑まれる。

「財前先輩やなくて、光、やろ?」

「ひっ、ひかるっ!!?」

「そ、言ってみ。」

「ひっ、ひっ、ひかる…………………先輩」

「はは、謙也はヘタレやな」

ニッコリ

…………………!!!!!!
どうしよう今心臓破れたんちゃう?
破れたとこから花や星がキラキラ更に溢れ出てるようやわ。

「ま、先輩呼びは嫌やけどさすがに後輩が呼び捨ては抵抗あるやろうから、光クンで許したるわ」

「ひ、光、クン………?」

「そうそう。言えたやん」

ガシガシと頭を撫でられて俺は堪らず笑顔を浮かべた。

「お、ようやっと笑ったな」

「え、あ、」

「やっぱり謙也は笑顔が似合うで」

「………おおきに、です!!」







「ほな、俺は寝るから、謙也は頃合い見て帰ってええで」

「あ、はい………」

俺がしゅんとしたのが分かったのか、ざい……光クンはそっと俺の頭に手を置いた。

「早く風邪治して謙也とテニスしたいねん。堪忍な」

「………………!!!」

俺があからさまに笑顔になったのが面白かったのか、光クンはまた微笑した。(それに俺の心臓がぎゃああと悲鳴をあげた)










「………ざい、光クン、寝た?」

話し掛けても光クンの息はそのまま定期的に行われている。
寝てしまったようだ。

「ね、寝てるときにスマンけど、えと、光クンの唇、水を飲ます為とはいえ、奪って、ごめんなさい」

人命救助だと割り切ってはいるけど、それでも俺は嬉しかったんだ。
………なんて言えないけど。

「俺、その、帰る、から。お大事にな、光、クン」

しどろもどろしながら、鞄を持って、光クンを振り替える。

「……………早く、治るように、おまじない、だから」

そっと光に近づき、寝息が定期的なのを再度確認し、謙也はゆっくりと光のおでこに唇を落とした。


「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!おじゃましました!!!」

バタバタと階下に行くと、ちょうど光のお母さんが玄関にいるのに謙也は気がついた。

「あら、看病ありがと――――」

「おじゃましました!!!!」

ドッタバッタと浪速のスピードスターに恥じないスピードで謙也は出て行った。

「うー!!」

走りながら、謙也は顔が熱いのを理解しながら、笑顔になるのを止められなかった。

「………光、クン!!」





















「あら、起きてたの?あの子いい子ねぇー。あんな美味しそうなおじや作ってくれて――ちょ、光!?」

「なんや……病人なんだから静かにしてくれや………」

「アンタ顔真っ赤じゃない!!熱上がったんじゃないでしょうね!?あ、てかさっきのニンソクくんも顔赤かったけど移してないわよね?」

「…………ニンソクやなくてオシタリや………」

「あら、そうだったの?でも本当に顔真っ赤―――」

「も、もう本当に寝るから出てってくれや!!」

ばふ、と布団を被った光に首を傾げつつ、光の母親は階下に静かに下りていった。


「クソ……可愛すぎやろ………!!」


同時刻、顔を真っ赤にして青春を堪能する青少年が二人いた―――――























Not お気に入りの後輩






((どうしよう、早く一緒にテニスやりたい………!!))





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