小説しょうと他 | ナノ

ライフポイント=0


人生が詰む瞬間って結構あると思う。
社会やったら、お偉いさんにお茶をぶっかけたり、上司のカツラを取ってしまったり、
学生生活やったらブラックかも知れんけど悪い先輩に目をつけらりたり。



だけど、な、



俺人に好かれることでそうなるなんて初めて、や。


あははは、と乾いた笑いが口から溢れる。


ああ、俺人生詰んだな。









「謙也ーー!!現実逃避してないであの二人止めてやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

金ちゃんに言われるとかどんだけやねんアイツら。
あの二人の傍には元々毒舌と生意気に慣れてない小石川が転がっていた。
まがまがしいオーラ苦手やもんな小石川、ゴメン。

ライフポイント、0になってもうてる……。





















ライフポイント=0





















"あの二人"というのは、今日四天宝寺中学校に来た東ルーキーと、四天宝寺中に生息する西の天才に起因する。



東のルーキーこと、越前リョーマが四天宝寺に遊びに来たことが今回のめんどくさい事は発展した。



「久しぶりだね、謙也さん」

「………!!?越前!?……あ、いやコシマエ!!」

「……わざわざ言い直さないでくれない?ムカつくから」

いきなり話し掛けられたと思ったらいつものように生意気なセリフをぽんぽん投げてくる越前。あ、いや、コシマエ。

俺はというと突然のこと過ぎて目をパチクリさせながら久しぶりに会ったコシマエに目を見開くことしか出来なかった。

"アイツ"も金ちゃんも俺を追い抜く勢いで伸びとるけど、コシマエもそれに負けない成長速度や。
ちょっと前まで俺の肩に頭届いてへんかったやん!!

後輩の伸び具合に若干ハラハラしつつコシマエと話す。

「ほんまに久しぶりやな!背伸びすぎやでー!」

「そう?あんま意識してなかったけど」

「あっ、てか何で来たん?まさか金ちゃんと試合してくれるんか?!」

そやったら金ちゃん大喜びやで!と言ったらコシマエは肩をすくめた。
おい何やねんこの分かってないなぁ、みたいな態度は!!大人ぶりやがって!!

「アンタに会いに来たに決まってんでしょ」

「そうそう俺に会いに……、へ」

する、と俺の頬を撫でるコシマエ。
…………今なんて言うた、コイツ?

「あー、コシマエ?お前今なんて」

「I want to meet you……謙也さん、英語得意だったよね?」

なら分かるでしょ?と言わんばかりに微笑むコシマエに頬に熱が集まる。
イケメンのこういうとこはズルイっちゅー話や!!

「顔赤いよ謙也さん……もしかして意識してくれ、」

コシマエが何か言おうとした瞬間、地を削り取るようなスピードでテニスボールがぶっ飛んできた。

「、え?」

「ちぇっ」

コシマエは背中からラケットを出して、そのテニスボールを弾いた。
ちなみにその弾いた先には俺がいた。

「ッ…………!!!!」

鳩尾直撃。俺は崩れた。
言葉にならない痛みに悶えつつ、顔を上げれば皮肉めいた顔をしたコシマエ。
視線の先には、………財前。
俺のダブルスパートナーで、通称西の天才や。

「よー、何で東のルーキーがこんなとこに居んねん。おまけにうちの先輩誘惑するなんて、礼儀がなっちゃないわぁー」


にこぉ、と滅多に見れない満面の笑みでコシマエに荒い歓迎をした財前。
目だけは笑ってない。

あれ、なにこれ……



「はは、東京からわざわざ来た客人に対してその態度もないッスよー財前先輩?」

「じゃあかしいわ。お前なんぞに謙也さんはやらへん」



なに、これ………?




ダラダラ流れる汗にこれはヤバい展開やと悟る。
アカンこれ何としてもやめさせないと――――!!

「おま、「なに、調子乗らないでよね」

「は、んな軽口叩けるんも今のうちやっ………!!」

……簡単にスルーされた。畜生泣くぞ!!

ばっと指ぱっちんの姿勢になって財前はほくそ笑む。
財前、完全にお前悪人面やぞ。

「こっちには最強のお前駆除アイテムを持ってんのや!!いでよ!!!」

パッチィィィンッと指を鳴らして財前は叫んだ。
















「遠山ぁぁぁぁぁぁぁ!!!コシマエ居るでぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

いや指ぱっちんの意味ぃぃぃぃ!!!!!
心で盛大にツッコミを入れるも財前の雰囲気は厨二全開。

おいコシマエなに、財前のめんどくさいスイッチ入れてんねん!!!


ばっとコシマエを見ればただならぬオーラを出していた。
いや、確かに金ちゃん来たらめんどくさいからとは言え無我はないやろ無我は!!

「いやー、これは見物やな」

「うわっ、白石……いきなり現れんなや」

「精神的に厨二な奴と身体的に厨二な奴、謙也はどっちがええ?」

俺のツッコミに何も掠らず話し続ける白石に若干イラッとする。
お前人をB型B型言うけどお前も十分B型っぽいっちゅー話や!!

「………どっちがええって……二人とも大事な後輩やし」

「え、あのめんどくさい後輩に対してそう思えとるんか謙也。お前ほんまにお人よしやな」

「へ?」

お人よしって何やねん。
誰やって後輩は大事にするもんや。
ちょっと曲がってるかもしれんけど好かれとるんは悪い気せんし。

「この悪人が。害虫野郎、謙也さんがお前みたいな人外みたいな力を持つ奴を相手にする訳ないやろ。早う諦めてアメリカに帰れや。」

「どっちが悪人の面?だったら精神的にめんどくさいアンタを謙也さんも相手にしないと思うよ。ダブルスパートナーだからって調子乗ってんのそっちじゃないの?」

「…………口悪いなあ、」

「いやいやいや、謙也。あれを口悪いで済ませられるお前ほんまに相当やぞ」

「あ、いや。やってあの二人に絡まれたらああいうの日常茶飯事やしな」

アイツらは同族嫌悪みたいなもんなんかな。
けど先輩の俺が言うのもあれやけど、先輩に振り回されとるアイツらはむしろ気ィ合いそうやけど………

「謙也………苦労してんねや」

哀れむように見てくる白石にバシッとチョップをかました。



「謙也〜………」

「おわっ、金ちゃん?!いつの間に居ったん!てかコシマエ来てるでー」

「分かってんけど……」

振り向けばだんだんとまがまがしいオーラになっていく二人の姿。

「……………………………」

「何や今関わりたくないねん………」

野性の本能って凄いわ、と思ったところで小石川が現れた。

「お、なんや健ちゃん止めてくれるんかな!?」

やったらコシマエと試合やる!と言った金ちゃんの希望は次の瞬間脆くも崩れ去った。

小石川が間に入った瞬間二人の血走った目で睨まれたと思うと、一斉にまくし立てられた小石川はバタリと倒れた。

ライフポイント0、や。

「……………健ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」

言葉が出ない。
アカンアイツらの言葉の暴力マジヤバい。

「謙也ーー!!現実逃避してないであの二人止めてやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


という訳で冒頭に戻る。


「へ?!俺!?」

自分を指差せばえぐえぐと金ちゃんが頷いた。
いや無理やろあんなか入ったらただの死亡フラグなんやで!!
前に経験しとるから知ってんのや!!
あれは放置が1番て!!


「……謙也ぁ」



だがこんな可愛い金ちゃんに懇願されて断れる奴がいたら見てみたい。いや、断る奴は顔貸せ。
二度と往来歩けない顔にしたる。


「…………分かったわ」




ジリジリと二人に近づけばまがまがしいオーラに泣きたくなる。
いやここで止まったらアカン!
ヘタレやなんてもう言わせへん!!

「腰が引けとる時点でヘタレ全開やで謙也ー」

「黙っとけや白石!!」

ならお前もこっちこいや!!

罵り嘲りおとしめる会話をする財前とコシマエ。
コシマエは厨二的な力あるから弾かれる可能性あるから狙うなら決まってる!!

「財前!!」

後ろから羽交い締めにするように口からほとばしる毒舌を手で押し込める。
あとはコシマエの説得や!!

「悪いなコシマエ!そろそろ金ちゃんの相手してや!!」

「は?まだこっちの勝負ついてないからダメ」

一刀両断とか容赦あらへんな!!

「ほ、ほら!!けどいいかげ、ぴぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

手に生温い感覚を感じて思わず叫べばふ、とイケメンな笑みを浮かべた財前が舌を出していた。
コイツ、舐めやがった……!!(あ、精神的にもナメられてる?うっさいわ!!)


「謙也さんに背後から抱きしめて貰えるとか光栄すわ……」

イケメンスマイルに思わずドキリと胸が高鳴る。
いやいやいや、落ち着けや俺!!

「やから、いい加減お前ら喧嘩は辞めて仲良く……「「あ"あ"?」」

仲良く、と聞いた瞬間めちゃくちゃ嫌そうな顔をした二人に顔が引き攣る。
俺、もうアカンかも………


「財前!!コシマエ!!」


白石が突然叫んだかと思うとめちゃくちゃ凛々しい顔でこっちを見ていた。
つ、遂に白石動いてくれるんか……!!と感動した、








俺が間違いやった。




「仲良うすんなら謙也を好きなだけ犯してええで!!」

「白石さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!?」


「よろしくッス財前先輩」

「よろしゅうな、コシマエ」

「変わり身早ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」



なに、当人抜きで話進行!?
どんだけやねん!!!

「白石お前親友を見捨てるんか!!」

「親友やからこそ(顔だけは)ええ男に預けるんやろ!!!」

「嘘つけ!!!」

「せや嘘や!!自分の保身と部の皆の為に親友を供物にする俺を許して謙也!!」

「白石お前いつか殴る!!絶対殴る!!」

てへぺろ、と言って逃げ出す白石を慌てて追おうとすれば両肩をガシリと掴まれ、思わずヒィッと声があがった。

「さあ、謙也さん」

「ヤりましょうか?」


にーっこり笑ったイケメンな後輩二人にダラダラと汗が落ちていく。

もう精神的にはライフは0。
ツッコミもしまくったから身体的にもライフは残りヤバい。






で、これからこの容赦ないドSなお二方にブチ犯される、と。



















………………ライフポイント、0のお知らせ。




















オチなんてないよ!





















――――――――――――――

ひたすら謙也さんめんご!
相性は悪くないけど謙也さんが
絡めば仲悪い二人がいい。
だけどちゃんと打算的な二人!

今度はリョ謙書きたいです!



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