04/20 10:46 神に愛された謙也



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from 謙也さん☆ミ
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件名 明日
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一緒にお昼食べよう
でッ(・∀<)☆ミ

―END―

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最近、俺は潔く気づいた。



謙也さんは、恐ろしい。



「………お断りします、と」

カチリ、と送信。
10秒後、外は大荒れの嵐、雷が稲光り、救急車のサイレンが引っ切りなしに鳴り響いた。

「………」

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from 謙也さん☆ミ
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件名 Re;明日
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何でやっ!?(:_;)


―END―

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「…………………」

だって、アンタめんどくさいし。
そんなことを前に打って送ったら、一週間日本は大型台風に見舞われた。

「………しゃーないッスわ」

図書委員やから、明後日一緒に食べましょう。

そんな文面を打って送ると、外は緩やかに晴れていった。

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from 謙也さん☆ミ
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件名 Re;Re;明日
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頑張ってな☆ミ
じゃあ明後日な!

―END―

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………お分かり頂けたやろうか?
謙也さんは、日本を、いや、世界を左右する力を持っている。
前に、謙也さんの家族で旅行に行く日が俺の誕生日やった時、行き先の外国が暴風雨に見舞われて、飛行機が機能しなくなった。
結果、謙也さんは部活で開いた俺の誕生日パーティーに出席できた。


つまり、謙也さんの力は恐ろしい。何でも思い通りになる。
ぶっちゃけこの人はエスパーなんやないかと踏んでいる。
…………無自覚の







「おはようさん財前!」
「……おはようございます」


チラ、と花壇に咲く花を視界に入れる。
前に音楽を聴いていたから謙也さんの挨拶を無視してしまった時があった。
そん時花は、一部は凄まじい早さで真っ茶色に枯れ果て、もう一部は肉食な草になって、俺を襲ってきた。


「……そういえば、今日ダブルス練習ッスね。確か今日謙也さんとやったし、頑張りましょうね」

そう言って、らしくもなく笑ってみれば、謙也さんは嬉しげに笑っておう!と返事した。
次の瞬間、花壇の花は物凄い勢いで輝いて、それはそれは美しい花になった。

「………………何者やねん」

ボソッと俺は呟いて、謙也さんと並んで学校に向かった。
ちなみに俺の視界に入った花は謙也さんの笑顔の影響により、全て輝いとった、間違いあらへん。










「財前」
「白石、部長?」

ふと話し掛けられて振り向けば美しく笑う謙也さんの親友で、二年生ながらテニス部部長を務める白石部長が立っとった。

「最近、周りに変なこと起きとらん?」
「…………はあ?」
「あ!!白石……財前!!」
「あ、どうも謙也さん」
「何や今日は図書委員やなかったん?」
「………急に司書の先生が出張になってもうたんです。やから、仕方ないから図書室はお休みッスわー」

これもぶっちゃけ謙也さんの影響やと俺は踏んでいる。

「そうなん?!なら一緒にお昼食べへん!?」
「あー……」

チラッと視界に入れた木々はザワザワと不安げに不自然に揺れている。
……………。

「………悪いんですけど、」

そう言った瞬間、木は折れそうなくらいに曲がってしわしわになっていった。
………アカン。

「白石部長と二人で食べるとこにお邪魔するんは………」
「そ、そんなん気にせんて!な、白石?」
「おー、全然構わへんで」
「ほら、な!!」
「……じゃあお言葉に甘えて」

そう言った瞬間、木は間違いなくぐんぐんと伸び上がり、成長した。







「でな、そん時に――」
「ふ、ハハハ。謙也さんの周りはカオス過ぎッスわ」

何故かお昼を食べる定番の屋上は俺達だけ。
別に屋上禁止やないし、いつも賑わってるんに、珍しい。

「財前、」
「なんすか、白石部長――」

パチン、と白石部長が指を鳴らした瞬間、時が止まった。空が止まる、雲が止まる、校庭でサッカーしていた奴らも止まる。
そして、ふわっと神に愛されたように謙也さんは優しい力で俺に倒れてきた。おまけにお弁当も無事や。

「え……」

何が、どうなってるん

「財前、謙也の異常な力わかってんやろ?」
「エスパー、みたいな……?」
「エスパーやない。正確には神に愛された力、や。」
「……神?」
「ちなみに俺は神の遣いで、謙也を監視し、力を抑制する存在や。ちなみに、最近までは、上手くいってたわ」
「いやいやいや、話飛躍過ぎッスわ」
「……謙也は、神様が1番に愛でると決めた存在。恐ろしいほど純粋な生き物なんや。この純粋さを汚そうとした人間は、神様が意図的な事故で殺すくらい、神様は愛でとる」
「そ、そんなけったいで恐ろしい存在やったんです、か………?」
「いーや、1番けったいで恐ろしい存在はお前やで財前」
「は?!」

自慢じゃないが俺はそんな異常な力持ってないし、少しの憧れは持ったりはしたけど、そんなん成功した試しがないわ!!

「財前。お前はな、謙也が唯一贔屓した存在なんや。」
「贔屓……?」
「謙也は、誰にも同じくらいの愛情を注ぐ。友愛、家族愛、他人愛すべてにおいて。けど、財前。お前にささぐ愛だけは、他の人間の比にならんくらいや」
「それって、どういう………」
「財前、お前は世界を意のままにできる機械を操縦するリモコンを持ってしまった、っちゅーことや」
「………謙也さんは、機械や、ないでしょ?」
「………!!!」

驚いたように目を開いた白石さんに首を傾げる。
白石さんは、厳しげな表情を緩めて淡く笑った。

「お前が謙也に選ばれた理由、何と無く分かったわ………」
「はあ………?」
「財前、謙也に選ばれた存在として、神様からの命令や」

神様て!!神様て!!!


「謙也が、自分自身の力で自分自身を潰さないように、支えたってや」
「…………え?」
「謙也は、純粋故に、自分自身を愛さない。このままやと、謙也は死ぬ」
「……死ぬ、て。神様が何とか出来るんやないッスか?」
「それは、神様には出来ん。神様は魂を形成する力しかない。魂を復活させる力は持ってへんのや」
「…………そんなん言われても、ね。俺にはどうしようもないでしょ。神様が何だか分かりませんけど、俺は別になあ。謙也さんに愛されてるとかよう分かりません」
「………けど、謙也を死なせんのは、嫌やろ」
「………まあ。」
「別にどうしようって訳やないから。けど、謙也を泣かせたり、悲しませんで。」
「………それは、おかしいでしょ」
「……え?」
「人間、悲しむし、泣くし、誰か一人を優遇するのは、俺はしたないんで」
「………そっか。そうやな。そんな財前やから、謙也は――――」



パチン、という音の後に、すべてがまた動き出した。


「でな?――」
「あ、ああ。そうなんすか……」


白石部長は、いつの間にかいなくなっていた。









「………これも運命、か」

礼拝堂に慎ましく、美しく立っている白石は、どこか悲しげに微笑んでいた。

「人間の魂は、誰しも少なくとも神様に愛されたものや。異常なまでに愛された存在が時々出るんはいつものことやけど―――」

ふう、と息をついた白石は真っ直ぐに窓から見える空を見つめた。

「異常なまでに、俺に愛されないで生まれた故に、俺からの異常な愛を持つ謙也に左右されへん存在が出るっちゅーのも、面白いよなあ…………財前は、唯一人間の中で、俺にも謙也にも運にも左右されへん、財前光自身の実力だけで生きてるんやからなあ……」



















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てなのをやりたい!
シリアスな!
鬱丸はギャグばっかだけどシリアスも好きだ!!

補足
神様(白石)は魂をつくる際には必ず愛を少しは込めるんだけど、財前にだけは込めることをしなかったって感じ。
財前光は好きだけど、一度生成された魂を改めて直したりは出来ないから、財前の魂は神様に愛されぬまま。
だから財前には偶然はあるけど必然はない。
運(神様からの愛)っていうもの自体がないから全て実力。普通は魂の上に運が乗るんだけど、実力の上に財前は運が乗ってる。
謙也は魂の上に異常な運が乗ってる。

だから魂達は、異常な運を持つ謙也を無意識にうらやんで、嫌うことが出来ない。
神様の愛自体を知らない財前の魂はうらやんだりしない。

謙也に全く影響されないで、財前光自身の目盛りで全て図るから、謙也は財前に惹かれたとかそんな感じ。

Happening☆Love終わったらまた5話完結でやってみたいなという。



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