僕を殺して死んじゃえば?





じぶんの存在がわからなくなったとき、居場所がわからなくなったとき、自分がみえなくなるんです。だから、私は刃物で腕を切るんです。死にたいわけじゃないの。ただ、わたしの存在を確かめたいだけ。ズタズタに切り捨てて、しばらくすると赤い雫が浮かんでくる。深くきりすぎると、ぱっくり開いて、血がとまらなくて、傷跡が大きく残る。わたしは、ぞっとする。やっぱり死にたくないんだと思った。切って、切って、血が浮かぶのをみて、涙が浮かんできて、世界が滲んで、また、手首に痛みを感じる。切ったからじゃなくて、精市が、私を、止めて、手首を握って、くれるから、いっそのこと、この愛しい彼を殺して、私も死にたい。そう精市に言ったらにやりと笑われた


「僕を殺して死んじゃえば?」




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