理解不可能



隣の席の女はとっても変な奴だった。いや、きっと俺じゃなくて柳とかに言わせてみれば、「大人」なのだろう。ガキな俺にとっては全くあの女を理解することができなかった。「なあ、教室の隅っこで泣いてるやつ、あれお前の友達だろ?」「うん、そうだね」「慰めに行かなくてもいいのかよ」「なんで慰めに行かなくちゃいけないの?」「いや、結構常識じゃねえの?」「大丈夫よ、彼女きっと本当につらいわけじゃないから」「え、泣いてるじゃん」「本当につらいならね、こんなに大勢の人がいる前で泣いたりしないわ。それに自分でツライって言える人ほどなんにもつらくないものよ」「ふーん、よくわかんねえなあ。」「丸井君は子供だからね」「お前だって子供じゃん」「そうだね」「変な奴」「そうだね」「なあ、じゃあお前は人を慰めたことないのかよ?」「ないわね。それに慰めるのはあまり好きじゃないから」「お前いつか自分が慰めてほしい時に悲しくなるぜ」「大丈夫よ、私はきっとそんなこと思わないから」「なんでだよ」「さっきも言ったでしょう。本当につらいのなら言葉に出すことなんてできないわ」「それじゃあお前どうするんだよ、悲しくて死ぬだろ」「だから自殺者がでるのかもね」「不吉なこというなよい」「それにね、悲しみっていうのは自分から伝えるものじゃないのよ」「じゃあどうやって伝えるんだよ。無理だろ」「誰かが気づいて伝わるものよ」「気づかなかったらどうするんだよ」「それは残念ね。きっと気づくべき相手がいなかったのよ」「よくわかんねえ」「今あそこで彼女、泣いてるでしょ。あの子があんな状態になるまで、私は気がつかなかった。つまり私は気付くべき相手じゃないの。わかる?」「わっかんねえ」


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