暴飲暴食
サービスエリアで買ったアイスをもって千歳が隣でるんるんしてる。遠山君なんてサービスエリアにある食べ物を片っ端から買いあさっていた。今から合宿でしょ?キツい練習するんじゃないの?
「名前、あーん」
「ん」
千歳のアイスを一口もらうと甘ったるいバニラが口に広がる。おえ、これ酔っちゃうよ…。あたしはバスの窓を開けて綺麗な空気を吸い込んだ。
「金ちゃんそないに暴飲暴食してると酔うで」
「平気や!」
あれ、いつのまにか白石が復活してる。もうさっきみたいな真っ黒オーラはなくなっていた。立ち直ったのかな。
「皆、あと30分くらいでつくで。ていうか着いたらまず昼飯やから」
「え!そういう事は先にいうたい!白石!」
「予定表にも書いたやん!」
「は―…もう腹いっぱい…」
千歳が隣でぐったりしてる。あんな甘ったるいアイス食べてるんだもん、あたりまえ!
▽
「……白石、ここどこやねん」
「山や」
「山いうても深すぎやろ!キャンプしにいくんやないで!」
半分うとうとしていたあたしは、謙也の騒がしい声で目が覚めた。
「…えっ………なにここ」
窓から外を見るとさっきまでの高速道路と変わって深い森に景色が変わっていた。
「今回の合宿場所は跡部の家が経営してる温泉やからな」
「げ、跡部かあ」
「なんや名前、跡部は命の恩人やろ」
「………そーでした」
跡部かあ。あれから毎日のようにお見舞いの薔薇が届いたっけなあ。
「じゃあ、温泉入り放題ってことやな!?」
「そういう事やな」
「ほんま嬉しいわ〜、名前ちゃん、一緒に風呂で色々話したいわあ」
うん、話したいのはやまやまだけど小春は男だよ。今一瞬、ホントに小春と風呂入ろうとか思っちゃった!危ない危ない。
「名前と風呂はいりたか〜」
「千歳、混浴は禁止や」
あほばっかだ