Smile




「…誕生日…」
「名前の誕生日今日やろ?前言っとったやん」
「…謙也に誕生日なんて言ったっけ?」
「いっ一年の頃や!」
「よく覚えてたね、っていうか…」








食堂は大量のバラで敷き詰められ、真ん中には巨大な、100人分ありそうなケーキが置かれていた。







「…あ!」



その時少しピンときた。このケーキって…





「これ、渡邊先生が運んできたやつ?」
「おっ、よくわかったな。コケシやろか」
「いりません…じゃあ先生が遅れて合宿にきたのはこのケーキのため…?」
「ああ、」
「…じゃあ千歳がこそこそ隠してたのは…この誕生日会のこと?」

「ははっ、そうばい。ばれなくてほっとしたばい。」








少し頭でモヤモヤしていたことが一気になくなった。







「…誕生日…かあ」







誕生日会なんていつぶりだろう。







「…あたし、誕生日祝ってもらうの、すごい久しぶり。…みんなありがとう」












「名前ちゃん、にっこり笑うとかわいいC―」
「わっ、あ、芥川君…」
「おいジロー、名前にくっつくんじゃねえよ」
「げ、跡部…」
「名前」
「は、はい」
「俺様からの誕生日プレゼントは後日宅配させる。バラ1000本だ、花瓶用意しとけよ」
「(そんなにいらない…)」







「名前ちゃーん!誕生日おめでと〜」
「小春」
「名前、このケーキは俺らからのプレゼントや」
「こんなでっかいの…よく見つけたね。」
「金ちゃんが探してきたんや」
「…」






遠山君か、すごいなあ。っていうか、普通に感動した









「…みんな…いつもありがとう」

「ええで!どうせ名前のことやから自分の誕生日忘れとったやろ」
「あはは…」






この時ばっかりは謙也に頭があがらなかった。正直自分の誕生日なんてこってり忘れてた…








「名前」
「千歳…」
「俺からの誕生日プレゼントは帰ってからばい」
「え、うん」
「後で思う存分可愛がってやるばい」
「…は!?や、何言ってんのばか!」
「や〜ん名前ちゃん顔真っ赤や〜」
「おもろいな〜」







小春とユウジが茶化してきたからぐるっと顔を背けた。でも…









「嬉しい…」






あたしはこの数ヶ月でどれくらい笑ったのだろう


多分それは15年分の笑顔には相当しないだろうけど






きっと








これからもっともっとみんなと笑って過ごすのだろう








これからずっと、
できれば千歳の隣で

Smile
(皆がいるから、笑顔になれる)







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