大ダメージ



「ごちそうさま」







今日は人一倍静かに人一倍早く食べた。そして、人一倍早く食堂を去った








「あ…名前…」






謙也が何か言おうとしたのに気がついたけど、あたしは風呂入ってくる、と一言いって食堂をあとにした。ちゃんと笑えていただろうか、それだけが心配だった

























「…ふう…」





真っ白な湯船につかりながら、あたしは色々と物思いをした。








「…あったかい…」








温泉は温かくて、なんだか心が溶けそうな感覚におそわれ、涙がボタ、と一滴湯船に落ちた












「…ぐすッ…」







はあ。謙也のあんな一言でここまでダメージを受けるだなんで。今まではあんな言葉散々いわれてきたのに









「…あたし、どうしたんだろう」
「先輩、調子わるいんですか?」







え?誰?ふと顔を上げるとそこには桜乃ちゃんがいた。








「あれ…桜乃ちゃん」
「なんかお風呂一緒になるの、久しぶりですね…っ」







桜乃ちゃんが湯船に入ると、水面が揺れた。どうしよう、今めそめそしてたの見られちゃったかな









「…先輩、何かあったんですか?」
「え」
「なんか…悲しそうですよ」
「え…顔、が?」
「はい」










顔が悲しそうって…隠しようがないじゃないか












「…桜乃ちゃん」
「はい」
「…あたしって、前より笑うようになった…よ…ね?」
「…笑うっていうか…表情豊かになったと思います」
「え」
「なんか、前よりも感情が表にでてるっていうか…」
「………」
「あっでも私合宿のときの先輩しか知らないので…」
「…そっか」









自分が前と変わったのはわかってる。まわりだってそう言ってくるし、自分でも実感してる。でもやっぱりあたしのイメージの中に「無表情」っていうのがあるんだ












「…悲しいな」
「え?」













謙也から言われたからこんなに打撃が大きいのだろう










「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -