沈黙


思わずトイレに逃げ込んだがなんだか頭の中が真っ白だった。売り言葉に買い言葉、ただの会話の中のふざけた一言、そんなのわかってる。謙也が本気で言ったんじゃないのはわかってるけど








「……無表情…」









以前のあたしを表す的確な言葉だと思った。この胸の痛みをなんと表現したらいいのかわからなかった
























「このドアホーー!!」
「名前ちゃんに何言うとるんや!!」
「一番いっちゃいけんことやろ!」
「謙也…俺ん名前に何ばしよっと?」
「いや、だからっさっきのは本気で言ったんじゃ…」
「でも名前先輩は傷ついてるんじゃないんスか」
「もう10分くらい戻って来へんしなあ」
「せやから、謝るって!」
「謝って済む問題やないやろ」






ガラ









ドアを開けて食堂に入った。皆にぎやかに食事をしている。その中で四天宝寺の席だけ静まり返っているのがよくわかった。あたしは静かに席に戻って用意されていたご飯を食べ始めた









「…皆食べないの?」
「え…あ、ああ食べる食べる」
「今日は茶碗蒸しやーうまそやなー」






あたしの一言で皆はいつもどおりに食事を始めた。










「…名前…」








隣の千歳が少し心配そうにあたしを見てきたから、少しだけ笑いかけてあたしは食事を続けた。なんだか今は話す気にはなれなかった












「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -