死にたくなった
おかしい。何かがおかしい。周りには町から帰ってきた大量のギャラリー、目の前にはラケットを持った遠山君。そしてコートに立つワタシ。
「名前―!準備ええでー!」
「…あたしはよくない」
結局ご飯を食べたあとあたしはコートへひっぱられ、遠山君とテニスをすることになってしまった。みんなおもしろがって勧めてくるし…あーもう何なの一体
「名前ちゃーん、体かたいで―」
「リラックスリラックス」
「ていうかそのかまえ、野球やろ」
ラケットを両手でつかみ、まるでバッターボックスに立っているようなあたしに皆が言った。
「…やっ、野球じゃないし…っ」
恥ずかしい!あたしはパッと体制を変えてラケットを右手に持った
「じゃサーブは名前からな」
「え?あたし?」
白石があたしにボールを投げた。そしてとり損ねたあたし
「わっ」
「何しとるん?」
皆笑ってるし…半分いじめではないのだろうか。あたしは急いでボールを拾い、サーブを打つ体制に入った。一応毎日皆の練習みてたから、形はいいはず…
「………いくよー」
「お―!ええでー!」
あたしはボールを空高くあげておもいっきりラケットを振った
ブンッ
「…………あれ?」
カ ラ ブ リ
「名前ちゃんっボールにあてな意味ないでっ」
「名前っ俺ら見てへんかったから、もう一回やりっ」
小春と白石が小声であたしに言ってきた。恥ずかしい…。ていうか千歳が一人でけらけら笑っている。いまいましい
「名前―?何しとるん?」
「な、なんでもないっ」
あたしはもう一回かまえて、ボールを高くあげて、おもいっきりラケットを振った
ブンッ
「…名前…お前…」
死にたくなった