ホームシック
「今あたしたちは何をしにこんな山奥にいるんですか」
「…合宿」
「合宿で一番大切なことは」
「…協調性?」
「一番やってはいけないことは」
「…場を乱す行為」
「わかってるなら行動にうつして」
「ゴメンナサイ」
一息ついてあたしは千歳をベッドの上に正座させてとりあえず説教した。なんだか、今日一日どっとつかれたなあ…。いろんな人に千歳と付き合ってるのばれちゃうし…
コンコン
「…誰だろう、はい」
ガチャ
「名前!明日何するか決めるで!」
「謙也…何するって、何?」
「は?明日やねん明日」
「え、練習でしょ?」
「名前、予定表みてへんの?」
うん、見てない。そういえばいろんな人に予定表みろ、って言われてたなあ。明日なんかあるのかな
「明日は練習は朝練だけ、あとはフリーや」
「フリーって…」
「せやから、明日は休養日ってことや」
「え?」
千歳のほうを振り向いて、知ってた?と聞くと知りません、と、さっきの名残で固い口調で答えた。
「あ、部屋入ってええ?」
「ああ、うん」
「あとで白石もくるで」
「げ」
予定表見てないこと、またいろいろ言われそうだなあ
▽
「まだ予定表みてへんの?」
「…スミマセン」
「あほやなー。とにかく明日は休養日やから、ちゃんと私服もってるか?」
「え?」
「明日多分皆で町までおりるで」
「なにそれきいてない」
「予定表みてや」
「………」
「とにかく、名前明日何着るん?」
「…ジャージ」
「あほ!しゃーないな、竜崎先生のお孫さんとかなんか持ってへんかな」
「…持ってたとしてもサイズが…」
「…せやな」
どうせあたしはでかいですよ。はあ、明日あたしもいかなくちゃいけないのかなあ。できればゴロゴロしていたい。
▽
「じゃ、この話はまた明日」
「おやすみな〜」
「うん、おやすみ」
バタン
謙也と白石が帰ると、なんだかとっても部屋が静かになった。
「千歳は私服もってきたの?」
「ああ、一応入れてきたばい」
ちゃっかりしてやがる
「…名前」
「え?」
「こっちきて」
あたしはそれに答えようと近づくと、千歳があたしの腕をつかんで引き寄せられた。
ちゅ
「………また」
「…はやく家にかえりたかね」
千歳のキスにももう慣れてきた。千歳に抱かれながら、あたしはだんだんうとうとしてきてそのまま意識がなくなった