衝動




ピピピピ






「……ふぁ、」



眠い。昨日早くねたから寝すぎてねむい。時計は6時きっかり指している。まだ寝たい気持ちが大きかったけど、あたしはしぶしぶ体を起こした。






「…………」




目覚ましがなっても千歳は起きない。起こさないほうがいいよな、まだ寝かせとこう。あたしは顔を洗って髪を直し、真田君の謎な朝練(今日は外で正座をしています)を眺めながらハミガキして、とりあえず部屋をでた






まだ起きてる人は少ない。っておもったら廊下に人影をみた。あれって、






「……仁王君」

「ああ、おまえさんか」

「今日は早いんだね」

「また誰かさんにケツひっぱたかれたくないんでのう」

「……………」








とりあえず起こす手間が省けた、ってことにしておこう。携帯を見ると6時15分。そろそろ千歳をおこしにいくか。あたしは部屋に戻ると、さっきとは体勢ををかえて大の字に寝る千歳が目に入る。起こすのが少し気の毒だ






「…千歳」

「……ぐぅ」

「千歳、朝だよ」






起きる気配、無し。もう、面倒くさいなあ。尻でもひっぱたいてやろうか。あたしは冷静になり、ゆすって起こす手段をとることにした。






「千歳、千歳」

「ん〜…名前?」

「うん、朝ですよ―」

「名前〜…こっちきて…」

「え?ちょっと、」







千歳はあたしの腕をひっぱり、布団の中に収めた。ちょっと!あたしまで寝ちゃうじゃん、起きなくちゃ





「こら、起きて」

「…………名前、」





布団から出ようと上をむいた時だった。なんか、唇に変な感触が、














「…わあぁ!」

ドカッ

「ぶっ」






反射的にあたしは千歳の顔をグーで殴って布団から飛び出して隣の四天部屋へ逃げ込んだ。いまなにがおきたのか。いま、あたしはなにをされたのか。はっきりわかっているけど、言葉にしたくない






バンッ





勢いよくドアを開けると、今日は全員きっちり起きれたらしく全員があたしの方を向いた。






「名前〜!わい今日はばっちり起きたで!」

「おはよーさん、どないしたん?血相かえて」







白石がびっくりしながら言った。あたしはなんだか頭が真っ白になってその場にへたりと座りこんだ






「わっ、なんやなんや」

「ど、どないしたん名前ちゃん!」

「名前、あああアメいるかアメ!」






いらないわ!って謙也に怒鳴りたかったがそんな気力もでない。なんだかとってもとっても悲しくなってきた









「………千歳のばか」







千歳との一番最初の恋人らしい行為が寝呆けた衝動で起こった、というのがなんだかとっても悲しかった。








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