あなたでしたか
洗濯が終わって旅館の中に戻ると誰もいない。皆風呂入ってるんだ。あたしもすぐに準備してささっと風呂に入った。
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「は〜…気持ちい……」
温泉につかるとなんだか凄く気持ちよい。今日は疲れたもんなあ。無駄な運動したし……眠いなあ………眠い…眠い…
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「名前先輩!」
「………ゴボッ」
あれ?何が起きた?目の前には桜乃ちゃんがいる。そしてあたしは今一瞬風呂で溺れた。なんなの一体
「大丈夫ですか!?」
「…あ、あれ?何?」
「先輩、寝てたんですよ!」
「…え?ここで?」
「はい。夕飯になかなかこないから見にきたんです」
なんてことしたんだ。まさか風呂で寝るなんて!やばい、はやくあがらなきゃ、
「ぉわっ」
「わっ、だ、大丈夫ですか?」
「た、立ちくらみ…」
「もうすぐで逆上せる寸前だったんですよ、」
はあ…ばかみたい。くらくらする頭であたしは桜乃ちゃんに掴まりながら風呂をでた。どっちが先輩かわかんないね。微妙な気分で着替えて髪を乾かし外に出るといきなり何かに体当たりされた
「名前!」
「…ちょっと、体当たりしないで」
「体当たりじゃなか!えっと…抱擁?」
「(なんかキモチワルイ)…千歳何してるの?」
「名前がなかなかこないからさがしてたばい」
あぁ、もうご飯始まってるのかあ。ただでさえあたし食べるの遅いのに出遅れてしまった。
「で、こげん長い間風呂でなんばしとったと?」
「……寝てた」
「…………………」
▽
「遅い」
「……………」
目の前には鬼のような真田君が。こわいっこわいよ
「長風呂とはけしからん!」
「…長風呂っていうか…」
「規律を乱すとはたるんどる!」
「………………ハイ」
反抗しても無駄だとわかりあたしは大人しく返事をしてみた。ああもう恥ずかしい。真田君の説教は古めかしい。みんなの前で立って説教だもんなあ…
「あ!跡部」
「アーン?なんだよ」
「さっき不審な人物見かけました」
「あ?」
「だから、不審な…」
「何言ってんだてめえは。長風呂で頭やられたのか?」
むか。跡部のあたしに対する扱いが最近ひどいと思う。
「ホントに見たよ」
「はいはい…特徴は?」
「特徴…?………色白」
「他には」
「…すらっとしてて、ウェーブな髪?」
「他には」
「……あ、前髪真ん中わけ」
「フフ、それ僕の事かな」
…………………
「…あ!さっきの…っ」
「その不審な人物、もしかして僕のこと?」
「………………」
あたしがいまいるところは氷帝の席と立海の席の間。彼は立海の座席にいる。そのときふと丸井君の言葉が頭に浮かんだ。そういえば部長がくるとかいってて…
「………跡部、この人…」
「ああ、紹介が遅れたな。立海の部長幸村だ」
「…………………」