白石相談室






「…あっつい………」




山といっても今は真夏。暑い!暑すぎる!皆よくこんな中走り回れるなあ。あたし何もしてないのに死にそう……





「…桜乃ちゃん元気だね…」

「一応テニス部なんで」

「え、マネージャーじゃないの?」

「おばあちゃんのお手伝いです」





そうなんだ、初めて知った。それじゃあこんな暑さのなかしっかり立ってられるわけだ。あたしみたいに運動不足でもないんだな………なんだかへこんできた





パコーン





「いたッ」

「わー名前すまん!!」







その瞬間謙也の方からボールがとんできて頭に当たった。あたしついてないなあ







「痛かったやろ!すすすすまん!!気が済むまで俺のこと殴り!」

「…べつにいいよ」

「へ」

「早く練習もどりな」






悪いのはぼーっとしてるあたしだし、反射神経悪いあたしだし…やばい気分がマイナスな感じだ















「名前大丈夫やったか?」

「……名前が俺におこらんかった」

「へ」

「もっといつもみたいに『謙也消えて』みたいなこと言われるんやないかって思ったけど…」

「お前の中の名前ってどないやねん」

「名前は俺にはつめたいんや…」

「まあ確かにな」

















暑い…座っていいかなあ。あんまり休憩に来る人少ないし…。あたしはしゃがんで土をいじってぼーっとしてた。あ、やっぱり山の蟻はでかい。






パサ、







「!」

「大丈夫か?」

「…白石」






白石が頭にタオルをかけてくれた。あ、ちょっと涼しい…





「暑いやろ」

「…うん」

「あんま無理せんようにな」

「……………」

「…名前?」

「…あたし何にもしてないのに無理も何も……」






目の前には暑さのなか頑張るみんながいて、隣には暑くてもしっかり立ってマネージャー業してる桜乃ちゃんがいて、あたしなんてやくたたず






「あんなあ、名前ただでさえあんまり食べんし体が弱いんやから体大切にせなあかんで」

「…あたしやくたたずだもん」

「何いうとるん?」

「皆みたいに取り柄もないし…ただでかいだけだし…勉強できるだけだし…」

「最後のは自慢やで」

「……あたしも皆みたいにテニスできたらなあ」






あ、なんか目がうるうるしてきた。ていうかあたし結構白石相談室活用してるよなあ。







「…名前」

「……ん」

「マネージャーも立派やで?」

「…あたし今マネージャーできてない」

「ドリンク作ってくれてるやん」

「…………」

「こないだ名前の親御さん来たとき部活大変やったで」

「………え」

「名前がおらへんからドリンクなんて財前と金ちゃんがつくったんやけど……財前のは薄くて水みたいで金ちゃんのはどろどろなくらい濃くて、ほんま大変やったわ」

「……………」





財前君のはともかく、遠山君のどろどろのドリンクを想像したら気持ち悪くなった。







「マネージャーってほんまに大切やで。おらんかったら部活できんくらいや」

「………ん」

「名前はできるだけのマネージャー業すれはええんや」

「………ん」

「マネージャー業も立派な取り柄やで」

「………ん」

「俺も初日から遅刻してまったから、あんま人のこといえへんけど」






そいえば白石あのときすごいへこんでたからなあ……




「おれは部長としての仕事せなあかんな」

「…………うん」

「名前はマネージャー業頑張る、それでええやん」

「…………うん」

「でも無理はあかんで!しばらく日陰でやすんどき」

「…………はい」








白石相談室はなんだかとっても役にたちます







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