憧れの人
「謙也邪魔」
「…………」
温泉であたしは体も心もきれいさっぱりした。けど、謙也を見てたらさっきのイライラがよみがえってくる。あとあたしにひっついてる千歳もちょっと邪魔
「千歳、暑いよ」
「名前の浴衣姿たまらんばい」
「変態!もう、また汗かいちゃうじゃん」
そんなにひっつかれると暑い。しかも重い。あたしは千歳をずるずるひきずりながらご飯食べるところ(なんだか食堂って感じがしない。合宿なのに)へ移動し始めた。
「……白石浴衣似合ってるね」
「せやろー」
「なんで千歳は浴衣じゃないの?」
「サイズがなかったばい」
「………………」
千歳が浴衣きたらどんなんだろう。ていうか財前君浴衣あんまり似合わない。越前君も。真田君が異常に似合ってるのはなぜだろう?まるで私服のように着こなしていた。
「お、ついたで。ここやろ」
「え…ここ?」
「わ―!めっちゃ広いわ!謙也鬼ごっこするで!」
そこはまるで宴会場みたいで、遠山君と謙也は鬼ごっこをはじめてしまった。ていうか広!ますます合宿に来ているという感じが無くなった。
「いい施設を借りられてよかったな」
「ああ、跡部に感謝しなくては」
施設?なんか表現変だよ真田君。ていうか手塚君も冷静だな。あたしの気分は半分旅行気分になってきちゃってるっていうのに
「名前―、隣座りたか」
「わかったわかった。ここでいい?」
「ん」
なんか千歳は異常にひっついてくるし。あーもー皆がいるのに、家を出る前にした充電はどうなったのだろうか。
▽
「わっ名前先輩と千歳さんくっつきすぎ!」
「千歳のやつ、絶対名字のことすきだぜ!」
「なんじゃ赤也、また名字のこときにしとるのか?」
「きっ気にしてるんじゃありませんて!…名前先輩てお姉さんて感じしません?」
「「「(そうか…?)」」」
「仁王先輩には言いましたけど、名前先輩は憧れなんスよ!」
「ほーお、そりゃ面白いぜよ」
「…仁王先輩、絶対また俺に変装したりとかやめてくださいよ」
「プリッ」
「…名字が千歳と付き合っている確率95%」
「「「え?」」」