憧れの人





「謙也邪魔」

「…………」




温泉であたしは体も心もきれいさっぱりした。けど、謙也を見てたらさっきのイライラがよみがえってくる。あとあたしにひっついてる千歳もちょっと邪魔





「千歳、暑いよ」

「名前の浴衣姿たまらんばい」

「変態!もう、また汗かいちゃうじゃん」





そんなにひっつかれると暑い。しかも重い。あたしは千歳をずるずるひきずりながらご飯食べるところ(なんだか食堂って感じがしない。合宿なのに)へ移動し始めた。





「……白石浴衣似合ってるね」

「せやろー」

「なんで千歳は浴衣じゃないの?」

「サイズがなかったばい」

「………………」





千歳が浴衣きたらどんなんだろう。ていうか財前君浴衣あんまり似合わない。越前君も。真田君が異常に似合ってるのはなぜだろう?まるで私服のように着こなしていた。






「お、ついたで。ここやろ」

「え…ここ?」

「わ―!めっちゃ広いわ!謙也鬼ごっこするで!」




そこはまるで宴会場みたいで、遠山君と謙也は鬼ごっこをはじめてしまった。ていうか広!ますます合宿に来ているという感じが無くなった。





「いい施設を借りられてよかったな」

「ああ、跡部に感謝しなくては」




施設?なんか表現変だよ真田君。ていうか手塚君も冷静だな。あたしの気分は半分旅行気分になってきちゃってるっていうのに




「名前―、隣座りたか」

「わかったわかった。ここでいい?」

「ん」




なんか千歳は異常にひっついてくるし。あーもー皆がいるのに、家を出る前にした充電はどうなったのだろうか。












「わっ名前先輩と千歳さんくっつきすぎ!」

「千歳のやつ、絶対名字のことすきだぜ!」

「なんじゃ赤也、また名字のこときにしとるのか?」

「きっ気にしてるんじゃありませんて!…名前先輩てお姉さんて感じしません?」

「「「(そうか…?)」」」

「仁王先輩には言いましたけど、名前先輩は憧れなんスよ!」

「ほーお、そりゃ面白いぜよ」

「…仁王先輩、絶対また俺に変装したりとかやめてくださいよ」

「プリッ」


「…名字が千歳と付き合っている確率95%」

「「「え?」」」









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