伸びないで
「…………………」
風呂の支度ができるまであたしたちは浴場の前で待っていた。そんななかあたしが見つけたのは身長計。そしてそれが差した数字は175センチ。え?あたしこないだ(4月)まで170センチじゃなかった?……5!?どんだけのびざかりなの?
「白石と3センチ差…謙也と2センチ差…ていうか小春よりでかい?ユウジよりでかい?ええやばいよそれは…」
「なにぶつぶつゆうてんの名前ちゃん」
「おっ身長測ってたんか?」
小春と白石が近づいてきた。やだ!この身長見られたくない!あたしはバッと身長計を元に戻した
「こないで」
「は?なんや」
「お願いだからこないで」
「なんやねん、背のびてたんか?」
「……………」
一回背が伸びたと認識すると異常に白石の目線が同じくらいに見えてきた。っていうか小春小さい
「名前ちゃん背伸びてたやろ、」
「…………」
「へーどんくらい?」
「………………5センチ」
「5センチ!?よー伸びたなあ!」
「……………」
本当にあたしも信じられないくらいだよ。あーあたしの成長期はいつおわる?
「千歳千歳ー」
「ん―?なんね白石」
「ちょおこっち来て名前の横たってみ」
「?」
千歳がのそのそ近づいてくる。どんなに身長が伸びても千歳だけは大きく見えるままだった。
「千歳身長何センチなん?」
「194」
「あー惜しいわ、あともうちょいやねえ」
「小春…何が惜しいの?」
「カップルの理想身長差や!」
「理想身長差…?」
「15センチ差がベストらしいで。千歳と名前ちゃんの身長差は19センチかあ、惜しいわ〜」
理想身長差かあ…ていうか千歳と15センチ差って179じゃない?むしろ気持ち悪いわ
「千歳縮んでよ」
「名前、無理な事いうんじゃなかよ」
175もあるのにまだ千歳との理想身長差に届かないなんて…、千歳は何を食べてここまででかくなったのだろうか
「名前はこのままでよかよ。あんまりでかくなるとかわいくなくなるばい」
あたしがまだ成長期が続いたらどうするんですか