忘れないように




「ついたで!多分四天宝寺が最後やから、全員急いで荷物おろしするで」





やっとついた。時間をみたらもう1時。長かったなあ…





「……あ……朝?」




あ、いたんだ財前君。この子六時間全部寝てたんじゃないだろうか。




「財前!降りるで!」

「いだっ」



ボカッ、と謙也がカバンで財前君を殴ると、少しだけ目が覚めたようでギロリと謙也を睨んでいた。外に出ると澄んだ空気が肺に入る。っていうか、ここどこ?ホントにテニスコートあるの?






「名字」

「……あ、真田君、久しぶり」

「うむ、四天宝寺はいつも集合が遅いな。たるんどるぞ」

「あはは…す、すみません」





怖い!真田君は顧問の先生みたいだ。どうやら出迎え役で真田君が玄関まできてくれたらしい。ていうかホントにコートどこ?




「真田!すまんな遅くなって」

「早くしろ、全員待っているんだ」

「全員荷物玄関に置いてコート集合や!」















旅館の裏へ真田君に従い全員で歩いていくと、でっかいコートがたくさん目に入った。ついでにコートのなかには立海と青学と氷帝の皆様が並んで待っている。




「めっちゃコート広いやん!あっ、こしまえもおる―!」

「金ちゃん、まずは挨拶やで。跡部、こないだぶりやなあ」

「おせえよお前ら。早く並べ」

「はいはい」






白石は皆をまとめてならびはじめた。あたしはどうしよう




「名前」

「…跡部」

「どうなんだよ体調は」

「あ、おかげさまで…」

「あの薔薇はどうした?俺様的には薔薇風呂にして使うのが一番いいと思ったぜ」

「え……(花占いのためにむしりました!)」




なんて口が裂けても言えず、あたしは笑ってごまかした。あ、桜乃ちゃんがいる。




「桜乃ちゃん、久しぶりだね」

「名前先輩!こんにちは、……あれ………なんか、背伸びました?」

「え?」





背?そういえば最近気にしてなかったけど……なんか前より桜乃ちゃんが小さく見えるのは気のせいだということにしておこう。





「マネージャーはこっちに並んで待っているらしいですよ」




そこには桜乃ちゃん以外に竜崎先生と、氷帝の先生がいる。あ、この人名前なんだっけ?




「こんにちは、1週間よろしくお願いします」

「名字か、あんたのとこの顧問はどうしたんだい?」

「あ…多分明日明後日くらいに来ます………多分……」





そういえば渡邊先生がいない。まあ多分そのうちくるだろう。それよりこの人の名前は…




「…………桜井」

「……はっ、はいっ」



うわ、しゃべった!





「…私の名前を忘れているだろう」

「……え…あ、あはは…」

「跡部からよく話を聞いている。私は榊だ。くれぐれも忘れないように」

「…は、はい………」

「では、いってよし!」

「…は、はい……?」





よくわからないけど、なんとかなったらしい。榊ね、榊。よし、忘れないでおこう。











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