おやおや、お可哀想にねえ
「ただいま…」
返事がない。当たり前だ。雅治は鍵を持っていない。合鍵持たせなくちゃ。ていうかほんとに雅治はこの家に半年も暮らすのだろうか。とりあえず雅治の帰りを待ちながらあたしはパスタを作りはじめた。
8時、9時、10時、帰ってこない
「何してるんだろう…」
ていうかこの心配な気持ちは何?雅治が何時に帰ろうとあたしには関係ないのに。ていうかやっぱり家が恋しくなって帰ったんだよ
「名前ちゃん?」
振り向くと雅治がいる
「ごめん遅くなった」
「…何…その荷物」
「服とか教科書とか…」
「…そっか、」
「あ、ごはん」
「パスタがあるよ。冷めきってるやつ」
「嬉しいぜよ」
なんだか雅治が帰ってきてホッとした。それと、嬉しかった。まだたった一日しか一緒に居てないのに、人間て不思議。