あけましておめでとう
「こら、まだ食べちゃダメ」
お雑煮の餅に手を掛けたら、名前ちゃんにパシッと手を叩かれた
「えー」
「えーじゃない。」
「名前ちゃん、俺このお笑い見たいんじゃけど」
「私は何でもいいよ」
「じゃ、これで」
お茶を持って名前ちゃんが席につく。名前ちゃんのよしの一言でやっと俺はお雑煮に手を掛けることを許されるのだ
「あはは、この芸人真田に似とる」
「あ、ほんとだ」
「あ…ブンちゃんから年賀メール…」
「私は柳くんからきたよ。案外デジタルなんだね、彼」
「多分、律儀に年賀状送ってくる奴なんて真田と柳生くらいぜよ」
「あはは、確かに」
「あ、この餅焦げてる」
「ごめんて」
「はあうあひあらいいえお」
「餅食べながら喋らないでよ」
「…切れない」
「ふふ、面白い。喉つまらせないでよ」
笑いながら名前ちゃんははむはむ餅を食べた。
「…あ、忘れてた」
かちゃ、と箸を置くと、名前ちゃんは俺の方に向かって正座をする。
「あけましておめでとう。今年もよろしくね」
ちゅ、と軽く頬にキスが落ちてきて、名前ちゃんを見ると少し照れたように笑っていて、こんな正月もいいと思った
「ん、よろしく」