あたしは一人


12月4日








「時間て過ぎるの早い」
「は?」








帰り道、あたしが言った言葉に友子が変な顔をした















「…あんた、最近ポエマーっていうかなんていうか」
「思ったこと言ってるだけよ」
「…あ、そう」
「あ、あたしここ曲がるね」
「え。どこいくの」
「ちょっとそこまで」










あたしは友子と別れていつも柳君と立ち寄っていたカフェの隣のケーキ屋に寄った













「あれ?丸井君」
「あ!名前さん!久しぶり〜」
「ケーキ買いに来たの?」
「おう。名前さんも?」
「うん。誕生日ケーキ」
「…え、もしかして仁王の…?」
「さあ」
「え、教えろよぃ!」











ぎゃあぎゃあ騒ぐ丸井君を無視してあたしはケーキを選んだ。あんまり甘くないのがいいよね。










「じゃあ、丸井君またね」
「あ!待てよー!」








丸井君からうまく逃げてあたしはさっさと家に帰った。少し胸がドキドキしていた














「絶対、帰ってくるはず」






















「よし、焼けた」






肉を解答してプレートで焼き、皿に盛り付けた。本当に帰ってくるか、わからないけど、多分雅治は帰ってくる。なんだか複雑な気持ちで作る料理は厭だなあ








ピンポーン







「え!?」







思わず声が出てしまった。やっぱり、雅治だ!雅治が帰ってきたんだ!あたしは急いで玄関へ向かいドアを開けた








バン!





「…え…」
「…どうした、あわてて」
「柳君」
「近くを通ったから少し、」
「…そっか、外寒いでしょ?あがってよ」
「ああ、」








あたしは焼肉づくりをいったん止めて、柳君にお茶を出した。












「何なんだこの肉の山は」
「焼肉」
「…仁王のか?」
「うん、今日誕生日だし」
「そうか」












「今日仁王は家で誕生日会をやっているはずだ」
「え?」
「久々に祝おうということになったらしいぞ」
「あ…そう、なんだ」
「まあ、気長に待て」















同じマンションの中で、雅治の誕生日会が行われているのか。一人彼を待つあたしはなんだか滑稽だった









「すまないな、茶まで出してもらって」
「いや、いいよ。」
「帰るとしよう」
「ありがとね」
「何がだ」
「柳君が来てくれなかったら、あたし泣いてたかも」
「そうか」










柳君はコートをはおり、冷たい外へと出て行った。








「7時、かあ」















今日は寝るもんか、絶対寝るもんか、雅治を待つんだから















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