もどかしい距離
「…名前、帰る、よ?」
「うん、ちょっとまって」
「スーパーのチラシなんか広げてどうしたのよ」
「…よし、友子、今日帰り途A町のスーパー行ってもいい?」
「は?」
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「なんでスーパーなんかいくの」
風がビュウっと吹いてあたしは鼻水が垂れそうになった。友子は面倒くさそうにあたしの後をついてきている
「そういえば仁王君が出て行ってからもう二カ月だね」
「……」
「早いもんね」
「そうだね」
「…ねえ、もういいの?」
「何が」
「仁王君」
いいもなにも無いだろう。
「あんたが声かけて迎えに行ってあげれば戻ってくるんじゃないの?」
「…」
「戻ってくるの信じて待ってるようだけど、そんな約束したの?」
「したよ」
多分、あの約束は現実だとおもう
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その日あたしはスーパーで大量の焼肉用の肉を買った。賞味期限は全部今日まで。だからものすごく安い、全部半額だった。これ冷凍しとけば大丈夫よね
「…大丈夫、大丈夫」