夢から覚めたら外は真っ暗でした






妙な夢を見た。
雅治がどこかへ行ってしまう夢。別に妙なんかじゃないか。これは約束だったんだから












『もう終わりじゃ』















ガバッ














「あ…あれ…?」








勢いよく起き上がるとそこはリビングで、あたしは焼肉のプレートを片付けずに寝ていたらしい。それに毛布が掛けてあるってことは、雅治がかけてくれたんだ。気が利くなあ。でもそれなら後片付けしといてくれればよかったのに









「雅治ー、雅治ー?」









あれ、どこだろう、風呂かな。あたしは風呂場へ行こうとたちあがった瞬間、異変に気がついた。










「…ない」










荷物が、ない。


リビングの片隅にいつも置かれていた雅治の荷物がなくなっていた。急いで玄関へいくと靴もテニスバッグも全部なくなっていた。







「…そうか」








頭が起きてきたからだろうか、やっと現実が見えてきた。やっぱり雅治はあの約束を覚えてて、期限が来たからその通りこの家を出て行った、それだけのことだ













「…それだけの、ことじゃん」









「…なんでだろう」











ずっとわかってたことなのに、なんで涙が出るんだろう。家中を見て回ると、雅治用の歯ブラシとか、マグカップとか、そういうものが至る所に残っている。なんだかそれが一層あたしを悲しくさせた









「…う、あ…」













本当にもう、雅治はこの家を出て行っちゃったんだ













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