荒れ狂う心臓
俺が今住んでる家の主人はどうやら今、考え事が多いらしい。ていうか、ちょっとおかしい。
「……………」
「………名前ちゃん」
「…………何?」
「それはこっちのセリフナリ。いつまで俺のこと見とるんじゃ」
「あ、ごめん」
家についたとたんに名前ちゃんにガンつけられてるというか…とにかくひたすら見られていた。一体何なのか
「名前ちゃん」
「…………何?」
「いやだから、見すぎじゃて」
「あ、ごめん」
「なんなんじゃ一体」
「………雅治……」
「んー?」
「こ、恋は大切にしたほうがいいよ?」
「は?」
そういうと名前ちゃんは「お風呂入ってくる!」といって風呂場に塞ぎ込んだ。
「……恋って……」
一応大切にしてるつもりじゃ。だから今こうして名前ちゃんと暮らしているわけで。実際名前ちゃんが風呂入っとるなんて、我慢しづらい状況なのに、こうして我慢してるのだ。
「十分恋は大切にしてるぜよ…」
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・
「雅治に、好きな人、か」
一体誰なんだろう。雅治の好きな人。雅治、好きな人いるのにあたしなんかの家に転がり込んでていいのかなあ。
「………はあ」
なんか、悲しい。テニスに関してと同じだ。あたしが入り込めない、雅治の世界がある。それを見せつけられると無性に悲しくなるのだ
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「仁王の好きな人?」
「うん、柳君知ってる?」
「……………いや、そのデータはないな」
この名字名前という女はどうやらかなり鈍感らしい。大体名字の家に住み着いているのだから、仁王の好きな人は名字だ、という発想が浮かぶだろう。
「…お前はアホだな」
「なっ急になに?失礼だな」
「大体俺はお前の相談所じゃないのだが」
「あ、ごめん」
最近毎週日曜日に名字の愚痴や世間話を聞かされている気がする。
「なんか柳君て何でも知ってるイメージが…」
「………………」