このたわけ者が!




「…はあ」
「………」
「…はあ」
「あんたうるさい」







目の前にいるのは制服をきた友子。ああ、やっぱり夏休みは終わってしまったのか。なんだか今頃実感してきた








「宿題…終わらなかった…」
「おとなしく先生に怒られてきな」
「やだあ〜…」
「ていうか、なんで終わんないわけ」
「……」
「この夏休み何してたの」
「…雅治の世話とか…」
「この一ヶ月間毎日24時間仁王君の世話してたわけ?」
「…違うけど…」










なんだかこの夏休み、考え事が多くてぼーっとしてた時間が長い気がする。なにやってんだかあたしは










「それにしても暑いなあ、クーラーいれてあるの?」
「設定温度28度だしね」
「何それ、意味無くない?」
「集中管理だからあたしたちじゃ設定できないよ」
「うわ最悪…私立なのに…」
























「名前、今日はどうするの?」
「ああ、雅治?」
「うん」
「どうしようかな…とりあえずコートでも見に行こうかな。まだ練習少しやってるとかいってたし」
「じゃ、あたしもついてく」
「めずらしいね」
「目の保養よ」
「…」








友子の目の保養になる奴なんているっけか。丸井君とか?










「あと一カ月だね」
「……何が」
「仁王君が居候するの」
「あー…そうだね」
「どんな気分?」
「いや、別に」
「あ、仁王君発見」






友子の視線の先をみると、ボールを追う雅治の姿が目に入った。もう引退したからか、遊び程度で丸井君と打ち合っていた。そしてその周りを囲む女子も暇だな、勉強しろよ









「相変わらずモテるね」
「…そうだね」
「仁王君告白とかされないの?」
「知らないよ、ていうかもう雅治の話とかどうでもいいから」
「仁王君見に来たんだからいいじゃない」








まあそうだけど…。なんか今日はよく雅治関係で絡んでくるなあ。






「…ん?」
「何?友子」
「仁王君…お呼びだし?」
「え」





友子の視線の先を見ると、女の子と一緒に校舎裏へと向かう雅治の姿が見えた。え、告白とか?






「…実は彼女だったりして」
「は!?な、何いってるの?」
「別にー。でも可能性がないわけじゃないでしょ」






確かに…あたしの家じゃ彼女もあげられないから、校舎裏でいちゃこらとか…やばい!妄想炸裂!






「あ、あたしちょっと見てくる!」
「じゃああたしも―」







あたしは友子と一緒にこそこそと雅治の後をつけていった。本当に彼女といちゃこらしてたらどうしよう…!





「いちゃこらって…あんたすごい妄想ね」
「はあ、見たくなくなってきた…」






とかなんとか言いながらも雅治と女の子をのぞき見るあたし。なんか惨めだ。









「…あ、あの、仁王君…あたし仁王君のこと、好きなんです」








あ、告白か。じゃあ彼女じゃないのか。ちょっと一安心…







「それで、あの、付き合ってほしいんですけど」
「…悪いけど」







うわ、断った。雅治やるなあ









「………理由とか、教えてくれる?」
「…お前さんは、あいつじゃなか」
「え?」
「あの人じゃ、ないから……」









あの人…?って誰?





「あんたじゃないの?」
「え?あたし?」
「いや、普通にそうでしょ」
「なんで雅治の恋愛事情にあたしがでてくるの」
「あんたねえ…」







雅治…実は好きな人、いるんだ…。なんか少し胸のあたりがチクっとした





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