落とした恋は数知れず




朝起きたら部屋には雅治の姿はなかった。毛布がかけられてあったから、きっと一度は帰ってきたのだろう。もう大会に行っちゃったのかな。大会は明日なのに






「…よし」







あたしはしゃきっとするためにベッドから立ち上がり、背伸びをした。雅治が明日帰ってきたときにしっかり焼き肉作ってまってなきゃ。それがあたしに出来ることなんだから。



















「…そういえば」
「何?」
「今日へんな夢見たなあ」
「夢?なにあんたどうしたの」







学校の昼休み中に友子に呟いた。今更思い出したんだけど、昨日寝てるときに雅治と会話した気がする







「どんな夢?」
「…夢っていうか、現実かもしれないけど…」







雅治と、誕生日を一緒に祝おうとか、お正月を一緒に過ごそうとか、ありえない約束をしたきがする。だって雅治の誕生日は12月だし、あたしの誕生日も3月なのだ。居候期限は10月、一緒に祝おうなんて無理なことだ







「…あんたさあ」
「ん?」
「本当に10月で仁王君出ていかせるの?」
「え、うん」
「ふーん」
「何?だって約束だし」
「…あたしは無理だと思うけど」
「え、何で?」





キーンコーン…








「…あ、予鈴」
「じゃ、またあとでね」
「え、ちょっと友子」






友子はお弁当を片付けて自分の席に戻っていった








「…明らかに相思相愛じゃない」





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