こんな視界では世界すら掠れてしまう


「…名前ちゃん」





あ…雅治だ…いつ帰ってきたんだろう、…あ、夢か






「名前ちゃん起きて」


「何いってるのよ…夢くらい見させろ…」
「は?」
「え?」








あれ?








「…雅治だ」
「おはよー名前ちゃん」
「夢だと思った」
「プッ…寝ぼけとるのか」
「…そーかも」






あたしはムク、と体をおこした。時計を見ると夜中の三時。








「あんたはあたしを睡眠不足にさせたいわけ」
「す、すまん」
「こんな時間に帰ってきてさ…、…なんで…」
「名前ちゃん?」
「…なんで連絡くれないの…」
「…ごめんな」






雅治はあたしの頭を軽く撫でてくれた。







「…今までどこいってたの…」
「ああ、ブン太ん家いってた」
「こんな時間まで?」
「ああ、…前部長の話したじゃろ」
「え…入院してるって人?」
「ん。そいつが今日手術して」
「え!?」
「で、成功して」
「え!??」
「でも…」
「…でも?」






なんだか一瞬雅治が泣きそうな顔をした。あたしは雅治の手をぎゅっと握り締めた









「…優勝できんかった」















その時まるで雅治の気持ちが伝わってきたかのように、あたしは無性に泣きたい衝動に駆られた





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