あら大変、今晩はご馳走よ
「はーおわったー」
やっと劇がおわった。長かった。ていうか疲れた。時計を見たらもう1時だった。そういえば雅治の劇は二時からだったっけ…
「名前、その衣装クリーニング出すから脱いだらかして」
「わかった」
とりあえずこのヒラヒラを脱ごう。で、ご飯たべよう。そしたら雅治を見に行ってやろう
▽
「わ…」
ご飯を食べおわり、あたしは中学の校舎へ向かった。なんか、人多くない?ていうか、体育館へむかうにつれて密度が濃く…
「…な、なにこれ」
雅治の劇が行われる体育館へつくと、もう席が埋まっていた。座れないじゃん。ていうか、なんでこんなに人がくるの?あたしの劇のときはちょうど席が埋まるくらいだったのに
「…帰ろうかな…」
立ち見じゃいやだし。雅治なんて家帰れば見れるし。体育館を出ようとしたら誰かに腕を捕まれた
「…えっ」
「名字先輩、だな」
「…あ、あの、」
「席はとっておいてある。因みに雅治の頼みだ」
「え」
「こっち」
あたしは知らない人に手を引かれて再び体育館の方へ戻った。この人、こないだ雅治の部活見に行った時に見かけたような
「ここだ」
前から2列目の真ん中に二つ席が空いている。
「あ…ありがとう」
「礼は仁王に言え」
なんだか年上扱いされていない事に若干疑問が浮かんだが素直に席についた
「あなたが名字先輩ですか」
「………あ」
「私は柳生と申します。」
「あ…えっと名字名前です」
「仁王君の保護者は大変でしょう」
「ほ…保護者……」
まあ違いないだろう。柳生君の隣に座っていた子たちも雅治の部活友達らしく軽く挨拶した。
『次は三年生の発表です』
アナウンスが流れると電気が消えて青いライトが照らしだされた。ステージの上には青く照らされた雅治がいた。あはは、白タイツはいてやんの、髪にリボンついてやんの
「………ぷ」
家帰ったら笑ってやろう。でもなんだか本当に王子様に見えてしまった