口付けに溶けるアイラブユー
『次は一年一組の発表です』
放送部のアナウンスがながれる。わー緊張する緊張する。あたしが人前にでて劇だなんて…自分でも信じられない
「名前ちゃん」
「………何?」
「あはは、ガチガチじゃのー」
うるさいよ、といつもみたいに言い返そうとしたけど緊張でできなかった。
「………?雅治?」
「名前ちゃん、手出して」
「手?」
雅治はあたしの方へ近づいてきて、あたしの手をとった
ちゅ
「…………何?」
「緊張しないおまじない」
雅治は何の恥じらいもなくあたしの手の甲にキスをした。よけい緊張するから!
「だから、キスシーンは無いってば」
「名前ちゃん、赤くなっちゃってかわいー」
くそう。この居候は。あたしは雅治に背を向けて顔を手で隠した。今更隠しても無駄だけど…
「………あれ?雅治?」
振り返るとそこに雅治の姿はなかった。彼なりの応援だったのかな。