小さな彼女
「あっつ・・・・」
まだ4月だというのにたまらない暑さだ。人数分ドリンクを用意するのは結構たいへんで。マネージャーが二人いればいいのに・・・
「名前先輩」
「・・!財前君。」
振り向くとまだ制服を着た財前君がいた。彼のせいでぬいぐるみをぶつけられた記憶が蘇る。でも口に出さないとこが私である。
「先輩らまだ部室におるんですか」
「多分そうだよ。今日はなんか騒がしかったから・・・」
財前君は一言どーも、というと部室のほうへ向かっていった。無愛想な後輩だなあ。(ってあたしが言えることか)
ドリンクの準備が一段落して、あとは水で薄めるだけ。暑い太陽の中急にぬっと影ができて涼しくなった。後ろを振り向くと、天敵千歳が。なんか、近いよ―。離れたい。でも涼しくて離れられない・・・
「(なんか今日は素直ばい・・)名前、もう仕事してると?」
「・・・・うん」
やばい、離れよ。
あたしは必死に涼しさを欲しがる欲望に勝ち、千歳の影からでた。・・・なんかすごい千歳が見てる、やだなあ
「今日はあつかね。名前も日射病ばならんようにするたい」
「うん」
いつも通り気のない返事をしたら頭をぽんぽんたたかれた。あたしは身長は170センチもあるのに、なんだか自分がとても小さく感じた。