仮装する彼女
文化祭は9時から始まった。あたしは皆に言われたとおり校内を歩き回ることにした。一人で行こうとしたら王子様スタイルの白石が寄ってきて「俺もいくわ」っていったきたから一緒に回ることにした。
「名前べっぴんやな〜」
「・・・・ありがと」
「(おっ素直や)」
校内は思ってたより人が多くてびっくりした、しかもこの格好・・・。目立ちすぎて恥ずかしい。こういうとき背が小さければなあとおもう。
「・・・名前先輩?」
「あ、財前君」
「・・・メイクてすごいわ」
「なんや財前ー、名前は元がええんやで」
「部長もなかなかッス。」
「よしよし、それでこそ後輩やで」
財前君は半分めんどくさそうに返事を返しながら再び自分の担当のところへもどっていった。財前君だったら絶対黒い猫耳がにあうだろうなあ(あ、あたしも変態)またしばらく視線を集めながらあるいていくと、石田君が見えた。あれ?でも何で書道部受付にいるの?
「石田君、何してるの?」
「名前はん、今日はえらいべっぴんやな・・・。ここに座ってるだけでええからゆうて頼まれたんですわ」
「確かに書道部に着物姿の銀は似合いすぎや」
「雰囲気がでるよね」
「・・・二人ともえらい格好や」
苦笑いの石田君にばいばいしてあたしたちはふたたび歩き出した。途中でウエイター姿の忍足が女子に追い掛け回されているところがみえたり、小春とユウジがホールで漫才してたりとなかなかおもしろかった。
「・・・・ぷ」
「あははははは」
「笑うんじゃか!!」
目の前には猫耳をつけたウエイター姿の千歳が。そういえば忍足と千歳は同じクラスだっけ。だから二人ともウエイターかあ・・・。似合ってる。っていうか千歳背高いからかっこいいなあ。
「・・にしても・・名前むぞらしか〜・・・」
「あはは、メイクだよメイク」
「元がよかたいね。・・・あんまり出歩いてほしくなか」
「・・?何?」
「い、いやっ別に」
千歳はなんだかそわそわしてる。猫耳つけてるからだな。でも似合ってるなあ。
「名前、ミスコンばいつ終わると?」
「えっと、二時くらいかなあ・・・」
「そのあと、話したいことばあるばい」
「・・・何?」
「ま、あとで」
またメールする、と言うと千歳は持ち場に戻っていった。何だろう、あたしはちょっと気になりつつも女子に囲まれてる白石を引っ張り出そうと群れの中に入っていった。