キスされた彼女




あたしは部屋に戻って荷物の最終チェックをした。忘れ物はないし、ゴミもないし、うん完璧。そしたらふと目に入ったのは椅子にかかっているパーカー。…やばい。跡部に返してない。どうしよう…!そういえばあの日から喋ってないなあ…。ていうか合宿の最後の最後に跡部にパーカーかえさなくちゃって、かなり苦痛だ。多分この合宿であたしにとって最大の関門だろう。


「あ!時間!」


あたしは時計をみると集合五分前であることに気付き、ばっとパーカーを手に取り、荷物を持って部屋を後にした。



***



「お互いにいい練習ができたとおもう。…まあ、一部悪ふざけをした不届きものもいるが…。…………わかってるのか仁王。おまえだぞ。」


うわ。最後のしめの挨拶でまで説教する気か。真田君の睨みにびくともしない仁王君は「ピヨ」と不明な言葉を発した。


「まあ全国で優勝するのはこの王者立海だ。またどこかで戦うときがあろとも手加減はなしだ。またあおう」



なんだか戦国時代を感じさせる挨拶だった。でもこれで終わったんだなあ…。長かったようで短かったなあ。そのあとあたしは立海の人(仁王君赤也君丸井君柳君)と氷帝のひと(侑士君向日君芥川君)にメアドを聞かれたから赤外線でおくってあげた。でもそんななかあたしはパーカーのことを思い出してしまった。跡部は白石と真田君と手塚君と話してる。………仕方ない………今しかないしな…。あたしは勇気を振り絞ってパーカーを手に取り跡部のもとへ駆け寄った。


「あ、跡部、君!これありがとう!」


うわああ。テンパってさけんじゃった。うわーどうしようはずかしい。


「おせえよ返すの」

「う、ご、ごめんなさ…」












息がとまった。口が、塞がれてる。あたし、もしかして、キス、されてる?頭が真っ白になった。ようやく唇をはなされてあたしは深い呼吸をする。と同時に周り(とくに四天)から奇声があがった。



「……い、いま………」

「ま、これで礼はチャラにしてやるよ。寂しくなったらいつでも泣きついてきな」



ポイ、と渡された紙切れにはメアドと電話番号。いらねーよ…




「あ…ッ跡部―――!!!なにしとんねん!!」

「俺の名前になんばしよっとね!!!!!!!」

「いやあぁあぁ名前ちゃん大丈夫なん!??」

「な、なんてことしとんねん…ッ」



みんなの反応は様々。忍足だけ照れてる。ヘタレだなあ…。ていうか!一番びっくりなのはあたしだから!!!




▽名前合宿での獲得品
コミュニケーション力
跡部の連絡先
跡部の接吻



以上.




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