君付けする彼女



「今日は合宿最終日だ。全員怪我をしないように。油断せずにいこう」


手塚君の(中学生とは思えない)挨拶によって合宿最終日は幕を開けた。今日はひたすら試合。だから仕事は少ないのだ。ひまだなあ


「名前―!試合みててや!」


遠山君が向こうのコートからあたしに向かって叫んだ。声でかすぎ!真横から叫ばれた気分だ。遠山君の試合みたいなあ。でもまずはドリンクつくらなきゃな




***




ドリンクを10本くらいつくって再びコートへもどると、ヘロヘロになった忍足と真田君が目に入った。6―1で真田君の勝ち。さすがだなあ。


「謙也ぼろ負けやんけ!」

「白石、しばくで」

「よか試合だったばい」

「忍足君、お疲れさま。ドリンクつくったよ」

「おおきに!千歳も名前も白石と違ってええ奴らや」



白石はぎらっと忍足をにらむ。つくづくあほだと感じた。


「なあ!」

「はいッ!」



忍足が急に叫んだからびっくりして思わずあたしも大きな声を出してしまった。


「名前俺のこと呼んでくれん?」

「は?」

「はいはい謙也君、セクハラは禁止やでー」

「セクハラやあらへんわ。な、呼んで」

「…………忍足君」

「やっぱり!」


忍足はひとりで納得しててあたしは全く理解不能だった。白石のとおり、新種のセクハラかなにかかな。


「なんやきもいで謙也。どないしたん」

「ちょお千歳と白石のことも呼んでみ」

「……白石君に千歳君」

「?なんやねん」

「名前おれらのこと未だに君付けやねん」

「あ、確かにそうばいね」

「確かにそうやな。きづかんかったわ」




すみません。心のなかではおもいっきり呼び捨てしてますがね。



「あは…なんか慣れなくて(嘘)」

「せや、名前今日から俺のこと蔵って呼び」

「え………」

「俺は謙也でええで〜」

「え……………」

「俺んこつは千里でいいばい」

「……………………よろしく、白石忍足千歳」





こうして私は君脱しました






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