天敵と彼女
あたしは三階へと階段をのぼり、バルコニーへの道をたどった。途中、四天宝寺の部屋で遠山君がぎゃーぎゃー騒ぐ声が聞こえた。なんで彼はあそこまで元気なのか?野性すぎて怖い。次に立海の部屋の前を通ったが物音一つ聞こえない。真田君を筆頭に全員寝てるのかもなあ・・・。(真田君は一人だけ4時に起きて朝練してるらしい。すごいよね)各校によって性格が全然違うよなあ。四天宝寺がふざけて見えるのは何故だろう。あ、バルコニー発見。
カチャ、
バルコニーのガラス張りのドアを開けるとふわっといい風があたしの髪をなびく。うわあ、すごい。山の香りがする。凄く澄んでていい香り。外を眺めるためにあたしはバルコニーの柵へかけよった。
「・・・何してんだよ・・」
右の方から低い声がした。あ、跡部じゃん。・・・・・・・・・・・・・・跡部!?え、どうしよう、どうしよう、急な自体にあたしの心臓はばくばく。不慣れな人と二人って苦手。しかも相手が跡部なんてなおさら・・
「・・・・別に」
「ホント愛想ねえなお前」
「・・・・別に」
「・・・・・(いらっ)・・ったくどっかいけよ」
でた!このひどい扱い。でもここで引き下がったら負けだ。絶対どいてやんないし!
「・・・・(無視)」
「・・・てめえ、いい度胸してやがるな」
しばらく跡部は無視し続けるあたしが気に入らなかったのか、一口も話し掛けてこなかった。それにしてもすごくいい空気だなあ。跡部いなかったらもっとよかっただろうに。あ、でもなんか寒いかも・・・
「・・・くしゅんっ」
「・・・そんな薄着だからだ。」
あれ、くしゃみして寒いはずだったのに寒くない。ふと肩をみると半袖のTシャツがパーカーに隠れている。あれ、もしかしてこれ
「着とけ。風邪引くんじゃねーぞ」
マネージャーなんだから、と付け足して跡部はバルコニーから出ていってしまった。あれ?なんかやさしくない?今日は機嫌がよかったのかな。