小さな彼と大きな彼女
今日も忙しい1日が終わってやっと一息つく時間がやってきた。あたしは食事の片付けを終えてロビーの休憩所で一服していた。近くにあるのは自動販売機。どうしよう、なんか買っちゃおうかな。まようなあ。炭酸も飲みたいけど、この飲むゼリーも気になるうわ〜どうしようどうしよう。
「邪魔なんだけど」
なんだこの憎たらしい声は。あたしはくるりと振り向きその憎たらしい発言をしたやつの顔を拝もうと思ったら、あれ。いない。なんだ空耳かよなんて思って少し斜め45度に目をむけると、憎たらしい目つきの少年発見。
「あ・・えっと、越前君?」
「買わないならどいて」
「あ、はい、どうぞ」
どっちが後輩だよ、なんて一人ツッコミをしてみる。越前君はファンタのグレープを買ってその場で一口飲んだ。
「買わないんスか?」
「か、買います」
なんだか威圧感があるというか、ただ生意気っていうか、あたしは適当に飲むゼリーを選んでしまった。
「・・・先輩、デカイっスよね」
「え、うん。まあ」
「何センチっスか?」
「170くらい」
「・・・・」
「越前君は?」
「151」
「小さいなあ」
あ、もしかして禁句?越前君の顔がなんか怖い。
「人間て不平等だよね。俺なんて毎日牛乳飲んでるのに・・・」
越前君はそれだけ言うとファンタをのみながら部屋へ帰っていった。ていうか、牛乳飲んでるんだ!かわいいなおい。