詐欺に遭う彼女
「・・・ぷり?」
「・・・ピヨッ」
「・・・・???」
このわけのわからない擬態語(?)は、もしかして、もしかしなくても・・・
「・・・・に、おう・・君?」
「あたりじゃ」
どきっとした。だってちょっと前まで無邪気だった赤也君の顔が急に大人びた仁王君の顔に変わったから。そういえばだれかがいってた気がする・・、詐欺師仁王雅治
「・・・なにしてるの」
「赤也をからかうのも楽しいが、おまえさんをからかうのもいいもんじゃな」
「・・・・。赤也君は知ってるの?」
「いや、しらん」
「・・・今のは無かったことにするから早く練習戻って」
「いやじゃ」
「なんで」
「今日は暑すぎじゃ」
「・・・・・」
あきれた・・・。ホントにテニスプレイヤー?肌も白いし、仁王君を凝視してたら彼はにやっと笑って私の髪に触れてきた。
「・・・てのは嘘で、おまえさんと話したかったからじゃ」
「は・・・・」
このひとスキがない。離れられないし言い返せない。どうしようなんて考えてたらなにやら聞き覚えのある声が耳に入った。
「仁王!!!」
「仁王君!」
「仁王先輩!!!!」
ものすごい剣幕の真田君と困った感じの柳生君、そしてある意味被害者の赤也君だった。
「先輩!!!なにしてるんスか!!なんスかそのもじゃカツラ!まるで俺じゃないっスか!」
「ピヨッ」
「仁王・・・サボりとはいい度胸だ。少しこちらへこい」
「仁王君、あなたって人は・・。苗字さんまで巻き込んで!」
あ、なんか大変なことになってきた。コートを見るといつの間にか打ち合いがおわってる。あたしは騒ぐ4人を無視してドリンクをもちコートへ行くことにした。