強気な彼女
「・・・まずい」
「じゃあ飲まなくてもいいよ」
そういって跡部からバッとドリンクを取り上げると跡部は舌打ちしてあたしからドリンクを奪い返した。皆のいうとおり確かに相手にしないとあまり苦ではない。物も考えようである。ていうか、どっちかっていうと跡部がつっかかってくるように思えた。
「名前、これ明日の練習メニューなんやけど氷帝の部屋まで渡しにいってくれへん?」
白石の手には一枚の紙がヒラヒラとしている。よりによって氷帝かよ。なんだか白石から遠回しにいじめを受けたようだった。
「白石君はいけないの?」
「今からおさむちゃんに現状報告せなあかんねん」
「ふうん・・・・」
「なんや俺と一緒がよかったか?かわええな〜名前」
「・・・・は?」
あほな白石に冷たく言い放ち白石から紙をうばいとった。(あ、白石が泣いてる)あたしは一度自室に戻り紙を持って氷帝部屋にいこうとした。途中自販機のところで千歳と財前君に会って、氷帝部屋にいく、と伝えたら一緒についてきてくれた。なんだかんだて二人ともやさしいな。(あ!財前君にお金返してない)
コンコン、
氷帝の部屋をノックするとがちゃ、とドアが開いて背の高い好青年がでてきた。この子はたしか鳳君。うわあでかい、って思ったけど隣の千歳を見た瞬間そんな感嘆の気持ちは消え去った。
「名前先輩!こんばんは。何かご用ですか?」
鳳君の大きな声がこの空間に響き渡ると、奥からずかずかと足音がしてきて跡部が鳳君を無理矢理どかして現れた。
「チッお前かよ。何だよこんな夜中に」
むか。またこう憎まれ口を・・・。どう対処しようか考えていると千歳があたしと跡部の間に割って入ってきた。
「名前にひどいこついうんじゃなか」
「・・・別に言ってねえだろ」
うわ、なんか険悪な雰囲気・・・・・なんて思っていたら後ろから侑士君がでてきて跡部をグイッとどかした。
「ちょ・・・っ忍足!なにすんだてめえ!」
「ごめんな〜名前ちゃん、で、用はなんや?」
さっさと済ませようとあたしは白石にもらった紙をとりだし、侑士君に渡した。侑士君はありがとな、というと跡部と言い争い(跡部が一方的に騒いでるが)が始まったので、早足で氷帝部屋をあとにした。