トランプをする彼女
あたしはひたすら仕事をして長い二日目は終わった。なんかさらに疲れた気がする・・・・
「名前!トランプするで!!」
「・・・・え」
元気過ぎるだろ。今日の練習はきつかったはず・・・。しかも皆やる気満々だし、なんて体力なんだ。あたしはもう寝たいよ。
「名前」
「・・・!・・白石」
「名前、少しだけでええからやってくれへんかな。今日名前あんまコートにいてくれへんかったから、みんな結構へばってんねん。特に千歳とかな。実際おれも名前おらんかったからへばってんねん。だめか?」
すごい嬉しかった。あたし、ちゃんと皆の支えになってるんだなあ。こんなに嬉しいことほかにはないだろう。
「・・・少しなら・・」
こうしてあたしはトランプをやることになった。(四天宝寺全員参加)
***
「よっしゃ〜!あがりや!!」
石田君、千歳、財前君、忍足につづいて遠山君があがってしまった。終わった千歳があたしにひっついてきてじゃまだ。
「名前よわかね〜」
「・・・・・・」
否定はできない、残りはあたしと小春・ユウジ(ペア)と白石。やだなあ。負けたらなんか悔しい。
「名前!どっちや!!」
白石があたしに二枚のカードを差し出してきた。これのどちらかがジョーカー・・・。ど、どっちだ・・
「・・・みっ、右側!」
あたしは白石からばっと右側のカードを奪い取った。・・・あ、ジョーカー・・・
「・・・うわ・・最悪だ・・」
「うわ、ジョーカーばい!」
千歳のばか。どっかいってよ。なんとしてでも小春・ユウジ(ペア)にジョーカーを取らせなければ・・・っ。あたしは小春とユウジに二枚のカードを差し出した。
「これや!右側!」
小春が勢いよくカードを奪い取る。ああ〜・・それは・・
「よっしゃ!!普通のカードや!でかしたで小春!」
「・・・・ああ・・」
その後白石が小春とユウジの最後の一枚を取り、小春とユウジがあがり、そして白石もあがってしまった。
「び・・・びり・・」
「名前、元気だすばい。俺がおんね」
最悪だ。千歳の声なんて頭にはいらなかった。あ、なんかニヤニヤしてる白石と忍足がうざい。
「ビリケツや!名前罰ゲームやで!」
「・・・!?」
罰ゲームてなんだ。聞いてないぞ。でも、なんか楽しいなあ。あたしを必要としてくれるひとがこんなにいて、トランプでビリだったけど気分が良かった。これで跡部のことがなければ・・ホントに楽しいのに・・
「・・・・・名前・・?」
千歳があたしの顔を覗き込んできた。・・・何?
「ちょっ、名前どないしたんや」
忍足がおどおどしながら駆け寄ってくる。一体なにが・・
「名前、罰ゲームそんないやだったんか!?な、なかんといて!!」
「へ・・?遠山君、何言って・・」
自分のほっぺたを触ったらなにか生ぬるい感覚。間違いなくこれは、涙・・・あたし、泣いてる?
「や、だ・・っなにこれ、気付かなかった」
やばい、まさか泣いちゃうとは思わなかった。どうしよう、ふ、ふかなきゃ。そう思ったら後ろから腕がにょき、とでてきてあたしの顔をごしごし拭いた。
「千歳・・・」
「名前、やっぱなんかあったんじゃろ。名前が自分から本心言うのが苦手なんは皆しっとるばい。ばってん溜め込んで名前がしんどくなるんは俺らもいやばい!」
「・・・名前、なんかあったんか?」
また皆を心配させちゃう。涙のせいで皆の表情はぼんやりとしてよくみえなかった