不安定な彼女
「赤也、随分四天宝寺のマネージャーきにいっとるのう」
立海のペテン師仁王先輩が何かいっている。スルーしたらややこしいことになりそうだ。
「気に入ってますよ、めちゃ綺麗じゃないですか!」
「赤也より背も高いのう」
「うっさいっス。媚びたとこもないし、彼氏もいないし、」
「狙うんか?」
「知りませんよ!仁王先輩に色々言うとろくなことないっスから」
適当なことを言ってなんとか仁王先輩をふりはらった。名前先輩は美人だ。背もたかくてモデルみたいで、なのに男にはまったく興味が無さそうで、だけど狙うかどうかの話になったら別だ。とにかく今は好奇心で話をしたいだけだ。
***
「・・・・・名前!」
「あ、ご、ごめん千歳。」
「何かあったと?」
「別に、何でもないよ。」
千歳が心配そうな顔をしてる。千歳のこんな表情を見たのは初めてだ。自分のせいで人が悲しそうな顔をするのはいい気分ではない。自分のためにも千歳のためにももっとしっかりしなきゃ・・・
「・・・あ、3時だ」
そういえば竜崎先生に呼ばれていたんだった。あたしは青学と氷帝のいるコートへ向かった。青学は四天宝寺にくる前にいたから、少しだけ知り合いがいる。不二君とか、菊丸君とか。なんか懐かしいなあ。
***
「竜崎さん」
「あ!名前先輩」
青学と氷帝のコートにいったら竜崎さんがテニスコートの掃除をしていた(えらいなあ)あたりを見回すと、全員しっかり筋トレをしている。えらいなあこっちの人達は・・・・
「あ!!名前!!」
名前を呼ばれたと思えば、菊丸君だった。
「菊丸君、」
「名前〜!久しぶりだにゃ!」
「久しぶりだね、不二君も」
「名前また背が伸びた?僕と変わらないな」
「ていうか、名前の方がでかいじゃん!」
中学の5月くらいまで青学にいたけれど、菊丸君と不二君は小学校が一緒だから仲が良かった。だけどほかはさっぱり知らないなあ。バンダナと、ツンツンと、逆光眼鏡にルパンに卵に・・あ、あれは部長の手塚君だな、あとあの帽子は・・・・・なんかめちゃくちゃこっちみてる!
「菊丸先輩と不二先輩、知り合いなんスか?」
あ、なんかこっちきた!ちっさい子だなあ。ていうか目つきこわ(あたしさっきから失礼だな)
「名前は前は青学にいたんだよん!」
「こんなに綺麗になって、素敵だな名前」
「・・・・・・・・」
不二君て昔から変わらない。無駄にストレートでこっちが恥ずかしくなる・・・
「ふうん・・・あんた、名前サンですよね?」
「あ、うん。君は?」
「越前リョーマ。」
「越前君か、よろしく」
竜崎先生が来るまで適当に青学の人に挨拶をしてきた。氷帝はなんとなく近寄りがたくて、気にしないようにすると一層気になった。ちら見すると跡部はあたかもあたしを避けるかのようにあたしに背を向けていた。