財前に借金した彼女



合宿前日、あたしは必要なものを買いに街にいくことにした。っていっても旅行用歯ブラシと日焼け止めと、あと内緒でおかしくらい。あたしは適当な服に着替えて自転車にのった。行き先はとりあえずでっかいスーパー。四天宝寺のそばだからすぐちかくだ。家から5分くらい自転車をこぐと大きなスーパーが見えてきた。適当に自転車をとめて中にはいるとすごく涼しかった。今日は26度、少し暑い。



***


歯ブラシと日焼け止めをみつけたのでおかしコーナーを眺めていた。あ、駄菓子ほしい。



「先輩」



急に掛けられた言葉に反射的に振り返った。しかし頭のなかはなんとなくわかっていた。あたしのことを先輩、なんて呼ぶ知り合いは一人しかいない。


「・・・財前君・・・」

「奇遇ですわこんなとこで。先輩も明日の準備すか」

「・・・・ま、まあ・・」

「へえ、先輩お菓子売り場で明日の買い物するんや」

「・・・・ま、まあ・・」




やばい。なんてタイミングの悪い・・・・。とにかく今は彼をふりほどいて歯ブラシと日焼け止めを買うのが一番だ。あたしはじゃあこれで、と財前君に別れを告げてレジへいこうとした。



あ。






さ、財布がない・・・!!








「どないしたんすか」

「え!?べ、別に・・・・」

「買いにいくんやないんすか」

「・・・・・・・」







どうしよう・・・。この状況でレジに向かわなかったら怪しすぎる。でも財布とりにいかなきゃだし、あ〜やっぱ戻るのめんどいかも。頼りたい・・・財前君の財布に・・・!!!



「(でもあたしがいえるわけない)」

「?先輩?」

「(勇気をだせ!あたし!)」











「お金かしてください」


あほだ






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