謙也と仕事する彼女
千歳と別れたあとあたしはソファーに寄りかかってそのまま死んだように寝た。相当疲れがたまってたらしい。あたしはそのまま意識を飛ばし気が付いたら朝になっていた。だけどまだ5時。外は薄暗く肌寒い。
「あ・・そういえば何にも食べてないっけ」
あたしはとりあえず風呂に入りご飯を食べることにした。
***
学校には遅刻もせず、ショートにもしっかり出た。うん、えらい。そういえば今日は仮入部が始まる日だ。マネージャーの仕事も多分いつもの倍になるだろう。
「名前、今日から仮入やから、ドリンクは作りおきして一年の面倒みてや。謙也も手伝うてくれるゆうてたから。」
「わかった。」
「なんや顔色悪いな〜。昨日ちゃんとねたんか?」
「うん、12時間寝た」
「(絶対嘘や)」
***
思った通り忙しくなりそうだ。一年の面倒なんてかなりめんどくさい。だいたい何すればいいのだろうか。忍足だって手伝いとかなにするんだろ。そんなこと考えていると、部室から忍足がでてきた。
「あ、名前。もうきてたんやな。ところで今日なにするん?」
「(だめだこりゃ・・・・)
***
部活が始まるとだんだんと見学の一年が増えてきた。あ、これをまとめろってこと?かなりめんどくさいな・・・・。
「うわ―!めっちゃひっろいコートやな!わくわくするわ―!」
右側からうるさい関西弁が聞こえてきた。振り向くとそこにはヒョウ柄のふくの、小柄な少年。背中にラケット背負ってるから完璧テニス部の仮入部だ。
「な―ねえちゃん!わいもこんなかはいってええのん?」
「え!?」
彼に急に話し掛けられて驚いてしまった。ていうか、どうみても小学生・・・・
「あ・・君、仮入の子?」
「仮入やのうて入部希望や!!はよテニスしたいねん!!」
パワフルすぎて気迫に押されてしまう。この子かなりのテニス好きだなあ。って感心してる場合じゃない、この子をなんとかしなければ。忍足に助けを求めようとしたら、向こうにいる仮入希望の一年生の名前をメモしていた。こういう時だけ正しい行動しやがって(あ、本音が)とにかくこの一年生、テニスさせなきゃ今にも暴れだしそうな勢いだ。
「あの、君名前は?」
「遠山金太郎!よろしゅう!」
「遠山君ね、」
「ねえちゃん名前なんていうんや?」
「あ、あたしは苗字名前。」
「名前か!よろしゅう!」
ホントに騒がしい子だったけど、なんだか愛らしさがあるから許すことにした。