話を聞かない彼女
帰り道、ひとり、またひとりと角を曲がって別れていく。私は天敵千歳(なんかこれ慣れちゃった)と家がかなり近いから最後には二人になってしまう。結構いやなんだな、これが。ただでさえ人と二人で話すのが苦手なのに。
「今日はあつかね。名前も少し焼けたんじゃなかと?」
「あ・・・大丈夫。(日焼け止め塗ってるから)」
「今日の授業結局でなかったばい。名前もさぼればよかったとね」
「え〜・・(だって天敵千歳がいたから)」
「あ!今日の金曜ロードショー、トトロばい!」
「そう・・・(あたしはハウルのほうが好き)」
「・・・・・・・・・名前」
「・・・?なに・・・」
あ、今日の夕飯なんにしよう
「話きいとる?」
「う〜ん、(カレーは)どうかなあ・・・・」
「話するときは相手の目見てはなすべきたい」
「でも(にんじん)嫌いだしなあ」
「・・・!!!」
よし、決めた!今日はカップラーメンですまそう。あたしの頭のなかで夕飯の予定がきっちり決まってすっきりした。って思ったら横にはいつもの巨人がいない。
「・・・?千歳く・・・」
振り向くと数メートル後ろに立ち止まる千歳。何してんだか。早くラーメンたべたいよ―
「・・・名前、俺のこと嫌い・・?」
「は?」
なんだかよくわからない展開だ。なんで急に好き嫌いの話になってるんだ
「ちょ、なに急に」
「今名前嫌いっていったばい」
「・・・・ああ!・・・ごめん今カレーのこと考えてた。にんじん嫌いだなあって思ってたの。口に出てた?」
「・・・は?」
まぬけな顔をしてる千歳。またやってしまった。人の話を聞かないクセ。あたしってつくづくダメ人間だなあ
「俺のこと嫌いじゃなかと?」
「え・・・・(なにその質問)・・・まあ、一応部活同じだし・・」
「・・・!そうか!」
あたしの一言で千歳の表情はぱっと明るくなった。よくわからないけど、機嫌なおってよかった。