初日から挫けました




ガチャ…





仰々しいドアをあけると、そこに広がったのは、とにかく大きな空間、天井がすごく高くて、部屋の中央に、天蓋付きベッドが置いてある。隅の方に机といす、ホントにそれだけ。頭に浮かんできたのは「無駄」という言葉。この空間、無駄だ。



「ここを、掃除…」




ゆっくり、一歩一歩、強く踏みしめて部屋の中に入る。ドアを閉めると、そこには静寂が広がった。大きな窓の外には青空と、庭に生えている大きな木が見えて、鳥のなく声が聞こえる。こんな環境で育った子、跡部景吾。さぞかし綺麗な心を持ってるんだろう、なんだかうらやましくなった。



ギィ…



そういえば、この家、床が全部絨毯みたいにふわふわしてる。この部屋の床もフカフカだ。お茶なんてこぼしたら大変そう






グイッ



「…えっ?」




ドサ…ッ






「やっ、な、に、」
「誰だてめえ」




急に腕を引っ張られて、私は強く床にたたきつけられて、口を手でふさがれた。その手は、すごく大きくて、私の目の前にある人の目は、すごく鋭くて、威圧的で、








すごく、綺麗な顔をした、男の子だった









「…ん、…んん、」
「誰だ。何故俺の部屋にいやがる」
「ん、んんんん」





手を離せ、って言いたいけど声が曇って出ない。その私の反応に、いらついたのか、彼はチっと舌打ちを打って、手をどけた。同時に私の上にのしかかっていたその上体もどかし、私はやっと自由になった








「ぷは、はあ、はあ」
「…言え、何なんだてめーは」
「…ッ私は…ッ」










そうだ、今、私はメイド。この家に、雇われている、メイドだ。この人は、関係上、私の、ご主人様…








「………」
「…?おい、」
「…すみません、失礼しました、…私は本日からアルバイトのメイドとして雇って頂いた苗字名前と申します」
「…聞きたいのはそんなことじゃねえ、なんでこの部屋に居た」
「私は今後、景吾様の身辺のことをやらせていただくように言われております。…ちょうど今から、掃除をしようと思ってたのです」
「俺様の身辺だと…?」





彼はハッと嘲笑うと、そんなんいらねえよ、と私に背を向けた。








「(…これは…)」




やりづらい人って聞いてたけど…まさかこんな俺様な人だったなんて。私、てっきりもっと静かな人で、潔癖みたいな人だと思ってた。でも、めげちゃだめ、私はこの部屋を掃除して、この人の周りのことをする。それでいいんだ、其れが私の仕事なんだから、




気を取り直して、スカートのホコリをたたきながら立ち上がると、彼もこっちを向いた。…う、結構でかい、





「言っとくが、俺はメイドなんていらねえ」
「……ですが、それが私の仕事です」
「勝手なことしたら解雇するからな」




彼はまた舌打ちを打つと、部屋を荒だたしく出て行った。




「…ったくもう、なんなのあれ…」






初日からくじけそうです




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