逃げました
途中、景吾からの挨拶が入ったり、式辞が入ったり、パーティーっぽいなあと思っていると、次第に会場の女の子たちがそわそわしだした。何がおこったんだと思いその様子をうかがっていると、どうやらプレゼント渡しに取り掛かり始めたようだった。
「わあ、みんなすごいねえ」
「跡部ファンはこれに命かけとるからなあ」
女の子の中には、自分と同じくらいの高さの巨大なプレゼントを持ってる子もいる。皆すごい…景吾、やっぱり人気あるんだ…
「姫さんも渡しにいかんでええんか?」
「………うん」
景吾の周りには、沢山の女の子が群がっていた。皆きれいで、可愛くて、いいとこのお嬢様って感じで…
私とは、大違いだった
「…どうしたん?気分でも悪いんか?」
うつむいていた私を心配したオシタリ君が背中をさすってくれた。
「…人に酔ったみたい。ちょっと外の空気吸ってくるね」
そういうと私は会場を逃げるように出て行った。あの場に居たくなかった。私は、景吾が好きだ。でも、景吾の傍に居ていいような女じゃない。貧乏人で、全く住む世界が違う、遠い遠い存在だ。
あの女の子たちをみていて、胸が苦しくなって息ができなくなりそうだった。
あの女の子たちがうらやましくて、仕方なかった。
わたしもあんな風にプレゼントを渡したい、でも、あの大衆の一部になるのはいやだ、景吾の傍に居たい、景吾の唯一の存在でいたい、
欲望との葛藤でいっぱいになって、とにかく私は走った。この場から早く逃げたかった。途中で靴が脱げた。涙も出てきて、いよいよ悲劇のヒロインみたいになって
悔しい、なんで私は、景吾に見合う女の子じゃないんだろう