忙しそうでした



そういえば会場ってどこなんだろう?と思っていると、なにやらホールみたいな建物が見えてきて、中は完全にパーティー会場と化していた。すごい、さすが氷帝…

そんなふうに感心していると、景吾が手を離し、こちらを向いた




「いいか、俺が傍にいない間、絶対誰にもついていくなよ」
「うん」
「あと、なるべく俺の視界に入るところにいろ」
「うん」
「ウェルカムドリンクはあそこでもらえる。料理は好きなだけ食べていいがあんまりがっつくなよ」
「はーい」
「ほんとにわかってんのか?」
「わかってるよ!」




景吾は疑いのまなざしを私に向けた後、頭をポンとなでると、会場の中心へと入って行った。その瞬間、大きな不安が私を襲った。



「どうしよう、」


一人だ、今、一人だ。こんなお金持ちの人ばっかりに囲まれて、私、どうしたら、



なんだか変な汗が出てきた。とりあえず、ドリンク貰って、壁のほうに行こう、うん、そうしよう。そばのウェイターさんにドリンクを貰って、私は壁の方へと移動した。会場にはさっきみた綺麗に着飾った女の子とスーツの男の子だらけだった。あんなに立派に見えたわたしのドレスも、普通のドレスに見えてきた…





「姫さん、きてたんや」
「ひゃあ!」
「なんやねん」
「あ…オシタリ、君」



まさか誰かに声をかけられるとは思っていなかったので、異常に驚いてしまった。オシタリ君もスーツをきていて、すごく似合っていた




「スーツ似合うね」
「姫さんもドレスにあっとるなあ。」
「…でも、なんか…」
「なんや?」
「やっぱり、居心地悪いなあと思って」




周りは皆お金持ちだし、皆パーティー慣れしてそうだし、きっと貧乏人、私だけだ…




「そんなことないで、ほれあそこ見てみい」
「?」



オシタリ君が指をさした方をみると、がつがつと料理を漁っている二人が見えた。釣り目の男の子と、ふわふわの巻き毛の男の子




「姫さんよりも大分庶民感出してると思うけどなあ」
「…………」


確かに、あれは例外。でもまあ、居心地が悪いのは仕方がなかった。しばらくオシタリ君と他愛のない話をしていると、景吾が輪の中から抜けて私の方へと来てくれた




「名前」
「あ、景吾。どうしたの?」



ぐい、と腕をひかれて、景吾の後ろへとやられた私。顔をあげるとオシタリ君を睨みつける景吾がいた。どうしたの?



「ちょっと、景吾」
「忍足てめえ、こいつに話しかけんな」
「なんや怖いわ〜。ちょっと話とっただけやん」
「うるせえ、クソメガネ」



オシタリ君…えらい言われようだなあ。本当に仲いいのか疑問が浮かんでしまった。



「名前」
「は、ハイ!」
「こいつとは喋るな。妊娠するぞ」
「へ?」
「景ちゃん、変なこといわんといて」
「うるせえ」




うーん、まあ、仲よさそうだなあ。ケンカするほど仲がいいのね。



「景吾、向こう行かなくていいの?私は大丈夫だから…」



そういうと、景吾は少し何か言いたげだったけど、悪い、と一言言うとまた元の場所へ戻って行った。忙しそうだなあ。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -