サイズ、ぴったりでした




パーティー当日。私は非常にそわそわしていた。適当な服をきて、買いに行ったハンカチとポーチ、そしてオシタリ君に渡されたプレゼントを持って、景吾のむかえを待った。

わざわざ部屋まで迎えにこさせるのもアレだったし、きっと景吾が来たらお母さんもお父さんもぎゃーぎゃー騒ぐだろうと思って、マンションの前で来るのを待つことにした。


しばらくして、いつもの黒いベンツが私の前にとまった。正装をしている景吾が窓から顔をだす。





「待ったか?」
「ううん!待ってない」
「そうか、のれよ」
「う、うん」




緊張しながら、プレゼントがバレないように車へ乗り込む。景吾、スーツが良く似合ってる…格好いいなあ






「なんだ?俺様に見惚れたか?」
「…うん…」
「…えらく素直じゃねえか。変なモンでも食ったか?」
「…違うよ、ばか…」



緊張して、うまくしゃべれないんだよ。なんて言えもせずうつむいていると、景吾の大きな手が私の頭をなでた。その手が心地よくて、あと一センチ、一センチだけ、近づいてもいいかなって思ったけど、






どうしてもその一センチが、埋まらなかった


















「ここが氷帝学園だ」




大きな門をくぐり、ドカンとそびえたつ校舎は圧倒的なものだった。立海もマンモス校だし、校舎はそれなりにでかい。でも、こんなオシャレな校舎ではない。さすが金持ち学校…






その圧倒さに目を回していると、景吾が私の手を取って、着替える場所へと連れて行ってくれた。その間、私はきょろきょろとまわりを見渡すばかりで、貧乏人まるだしだっただろう。それに、学校中に居る人が正装をしてて、女の子はすごくかわいいし、男の子はピシっとしてて格好いい。さすが、金持ち。



更衣室に入るとすでにドレスが用意されていて、景吾が着替え終わったらよべ、と言って出て行った。どうやら髪の毛のセットは景吾がやってくれるらしい。なんでもできる人だなあ。














「景吾、着替えたよ」


ガラ、と扉が空いて、景吾も髪の毛をセットしてきたのか、すごくスマートな感じだった。なんでも似合うね、とほめようと思ったけどやめておいた。




「ここに座れ」



景吾が椅子を引いてくれて、鏡の前に座った。景吾は慣れた手つきで髪の毛を整えていき、一つに綺麗にまとめて、髪飾りをさしてくれた。




「すごい、綺麗にできてる」
「馬子にも衣装だな」
「………」
「ちょっとこっち向け」




景吾に向き合うように立つと、景吾がいきなり首に腕を回してきたので私は思わず彼を突き飛ばしそうになった




「ちょ、なに!?」
「ばか、何もしねえよ、おとなしくしてろ」




ばかと言われてカチンときたので、しぶしぶおとなしくした。ゆっくり景吾が腕を離すと、胸元に綺麗なネックレスがつけられていた。



「わ、あ…きれい…」
「あとこれも」



景吾は私に黒いレースの手袋を渡した。うわあ、なんかパーティーっぽい!とつけた手をまじまじと見つめていると、景吾が左手を出せ、と言った



「え、左手?」
「早くだせ」
「うん」



左手を出すと、景吾はわたしのその手をそっと握って、何か考えているように動きが止まった。何だろう?と思っていると、ぱっと手が離れた



「やっぱり、右手出せ」
「なによもう」
「はやくしろ」




右手を出すと、またそっと手をとり、薬指に指輪をはめた。綺麗な黒い石で粒がれた、指輪だった





「え…これ…」
「あの後ドレスに合うように作らせたんだ」
「すごい、サイズピッタリ、どうして?」
「企業秘密だ」
「………」




なんか、ゾっとしたけど、すごくうれしかった。こんなにキレイにしてもらったのは七五三ぶりだよ!




「景吾、ありがとう」




そういうと、景吾は照れくさそうに私の手をとり、会場へと向かっていった。




私のカバンの中には、景吾へのプレゼントが入っている。その存在が、なんだかすごく重くのしかかった。これからどうなるんだろう、どうしたらいいんだろう、そんな思いを巡らせながら会場へと足を運んだ





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