バレちゃいました


嘘を貫き通すなんて、よく考えたらムリな話だった。景吾が私の制服を見て、私が中等部だと気づかなかったのも奇跡だろう。きっと中等部と高等部の制服の違いを知らなかったんだ。ましてや彼は中学テニス界では有名人。名門の立海テニス部と繋がりがないわけもない。私と仲のいいブン太や仁王が跡部と接触したら、もしかしたら私の話題がでる可能性だってあった。すべて、私のミスだ。







「ごめんなさい…ごめん…な、さ…」







涙が出て、視界が揺らぐ。一体何に対する涙なのか。訳も分からずボロボロ涙をこぼした。しばらく頭の片隅でその意味を考えた。







「…名前、どういうことなんだ?」






景吾の顔を見ずに、私は下を向きながら小さな声で答えた。








「…私、高校生じゃないんです…立海の中等部の三年なんです…」
「…え…」




景吾の顔が見れない。怒ってるかな。だましたって思われるかな。その前に、私、解雇に、なるのかな






「…成程、そういうことか」
「なんじゃ参謀、説明しんしゃい」
「どういうことなんだよ、柳」
「まあ落ち着け。」





柳君が私と景吾に近寄って、解説し始める。



「つまりあれだ。俺のデータによると、苗字の家は最近リストラにあい、家計が厳しい状態に成っている。そこで苗字も何かバイトを、ということになったがなんせこいつはまだ中学生。バイトなんてできるわけもない。しかし跡部家のメイドときたらその給料も半端じゃないんだろう、其れに目が眩んで、年齢を偽って雇ってもらっていた、というわけだろう」

「…………」
「名前、お前…」
「ごめんなさい…。私も悪気があったわけじゃないの、お母さんに言われて…。言いわけくさくなるけど、私も嫌だったの、いつバレるのかひやひやして、…でも、今は違うの」
「…?」
「…お願い、私のこと、解雇しないで、景吾の傍から離れたくないの…」





大粒の涙がこぼれた。私が泣いている理由はこれだったのか。言葉にしてやっと現実味が出てきた。私はだましてたことがばれて、怒られるのが怖かったわけじゃない。








景吾の傍に居られなくなるのが、怖かったんだ







「…名前」
「…ハイ」
「てめえの家の事情なら知ってる。それに、俺はお前を気に入ってる」
「え…?」
「親父に話しつけてやるよ。お前を解雇なんてさせねえ。俺が嫌だ」





また、ぶわっと涙が出た。景吾は、嬉しい言葉を沢山くれる。そのたびに、胸が温かくなる。景吾が、ぎゅっと抱きしめてくれて、また涙が出た。それで、やっと気づいた








私は、この人が好きなんだ









「…なんじゃ、すっかり蚊帳の外じゃ能のう」
「………」
「まあ気を落とすな、丸井」
「…俺…あいつのこと、一番わかってるつもりだったんだけどな」
「…ブン太…」
「あいつの家、そんな大変になってるなんて、知らなかった。」
「ま、内容が内容だ。言えなかったあいつの気持ちもわかってやれ」
「…うん。」











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