ごめん




「…名前…?」
「ち、とせ」
「…なんね、その格好」
「……え、と、」
「白石たちから、海外に行ったってきいとったけど」
「………」
「…男装、やめたと?」
「…それは…」




やめたとは言い切れないけど、今はしてない。ていうかその前に、千歳とはこないだのこともあって気まずすぎる…






「…名前」
「……」
「こっち向くばい」
「や、だ」
「名前」
「…や、だあ…っ」
「…!」




千歳に強く腕を引っ張られて、千歳がすごく怖くて、涙が出てしまった。うわ、なんか、女みたいなことしちゃった…






「、ごめん」
「…ううん」
「痛かったと?」
「………ん…」
「名前、俺、」











「何しとるん?千歳」










千歳がなんか言おうとした瞬間、後ろから聞こえた声。白石君だ









「白石、」
「その子、俺の大事な子なんやけど。手、放してやってくれん?」
「…ああ」




千歳が私の腕をつかむ手を離した。なんか、これって、ちょっと、修羅場?






「…二人とも、知り合いなん?」
「………いや」
「ち、ちがうよ、白石君」





私はなんか勝手に口走ったことに後悔した。千歳も否定したけど、なんか思いっきり否定してしまった。私は白石君の手を取って、歩き始める





「いこう、白石君」
「え、名前ちゃん?」





千歳の横を通り過ぎて、白石君と学校を出て行った。なんだこれ、なにしてんだわたし、いろいろ考えがよぎったけど、すべて私の男装が引き起こした問題だと思った













「ちょ、名前ちゃん、歩くの、早い、」
「え、あ、ごめんっ」
「ええけど、どしたん?…もしかして、千歳と知り合い?」
「…ち、ちがうよ。」
「…ほんまに?」




白石君が、すごく心配そうな顔をしてて、なんだか胸が痛んだ。私、ウソついてるのに。








もう





全部全部、







嘘だらけだ









「……名前ちゃん?」





ポタリ、

ポタリ、




涙が、私の足元の色を変えていった。どうしよう、もういっぱいいっぱいで、涙が止まらない




「ごめん、白石君…ごめん、ごめんなさい、」
「名前ちゃん?どしたん?」









ごめんなさい。



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