やくそく


その日はもう、白石君が格好良すぎて、一日ドキドキしっぱなし。ついこないだまでは毎日見てた、白石君のテニス姿。この服装のせいなのか、ほんとドキドキしちゃう。もう練習が終わったのか、皆がコートから出てきた。私はさっき自販機で買ってきたポカリと、タオルを渡そうと思って白石君の元へ駆け寄った




「白石君、お疲れ様、よかったらこれ」
「え…」





白石君はなんだか少しびっくりした顔で私を見た。え?私なんかした?




「…あ、ごめん、いらなかった?」
「あ、ちゃう、ちゃうねん。…なんか…」
「…?」
「いや、うちの部マネージャーおんねんけど、男の。そいついつも試合の後とかにドリンクとタオル持ってきてくれるから、…なんか…」
「…なんか?」
「なんか、似てるなあと思って」
「え…」
「あ、スマンな、男に似てるとか言って。でもそいつも女みたいにかわいらしい顔してんねん」
「…そうなんだ…」



私にちらつく、「男装時」の影が、白石君には見えてるんだ





「…今日はその子、いないの?」
「ああ、今海外にいっとるんやて。家の事情で」
「へえ…」
「一度会わせたいわ、」
「…へへ、楽しみにしとくよ」




…なんか、心ぐるしいなあ。だましてるみたいで。







男装時は私なのに。






今日はもう帰ろうと思って、あの門の方へ向かった時、くい、と腕をひかれて体勢を崩した。





「…ひゃっ」
「名前ちゃん!」




白石君だ、






「…あ、白石君、今日はもう帰るね」
「ああ、ほんまありがとう、めっちゃ嬉しかった」
「……へへ」
「なあ、次の土曜日の午後、どっかいかへん?」
「え?」
「その日、練習午前までやねん、よかったら」
「い…いく、ぜったい行きます!」
「はは、ありがとう、…あ、連絡、どうとったら…」
「あ、え、えと、私土曜日練習見に来ます」
「ええの?」
「はい、ひまですから」
「じゃ、また土曜に」
「はい」







ふああ、ビビった。メアド聞かれそうな雰囲気になっちゃったから、すごくドキドキした。メアドはもう男装時の時に白石君と交換してるし、…場合によってはもう一台携帯用意しなきゃいけないかもなあ…。…それにしても










「…これって、デートの約束…?」




ああもうどきどきがとまらない!


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